こんにちは、まのです。
僕の自己紹介には『言語聴覚士と公認心理師2つの国家資格をもっています』と度々書いています。自己アピールしすぎで「うさん臭くないかな…?」とたまに自分でも不安になるぐらいです。
とはいえ、ネット上で一定の知識と技術があることを客観的に示せるもの、となると資格名が分かりやすいですので…ありがたく名乗らせて頂いております。
さて当たり前のように言語聴覚士、と書いていますが実際のところ医療業界の方以外からの認知度というのはまだまだといったところであり、どんな職業なのかパッと浮かぶ方は少ないと思います。
医療と関係ない業界の僕の友人は、偶然居酒屋で居合わせた看護師さんが「STさん!いつもお世話になってます!」と僕に声をかけてくれたところを目撃して、初めて僕が病院勤めだと納得したそうです。
それまでは言語聴覚士ってウソというか、そんな職業は存在しないと思っていたそうです。いくらなんでも酷い。
友人の例は酷すぎるとはいえ、職名を言えばピンときてもらえると言えるほどの立場ではないでしょう。
といわけで、少しでも言語聴覚士というものをイメージしてもらいやすくなるよう、ここは僕の言葉で書き記してみようと考え着いたわけです。
しかし考えてみると、言語聴覚士の業態って意外と広いものでですね。
1回の記事で書き上げようと思うと非常に煩雑で小難しくなりそう…と思い、今回は大まか編と題してみました。
大まか説明1 首から上を対象とする職業です
というわけで最初の大まかなお話しです。これは僕が普段、言語聴覚士について説明するときにも実際によく使う導入の説明ですね。
リハビリに関する代表的な3職種に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士という3つがあります。
すごく大まかに言うと、
・理学療法士さん(PT)は筋肉、そして足…
・作業療法士さん(OT)は技術、そして手…
・言語聴覚士(ST)は言語、そして首から上…
といった感じで一番の得意分野が分かれています。実際にはもちろんこんなにハッキリ別れておらず、互いに重なる部分は多々あります。
3職種とも、筋肉も技術も言語も関わりますからね。
ただ、象徴的な部分を挙げるとこうした表現となるかな…と僕なりに選んでみました。
つまりは理学療法士さんの担当は歩行などに関する訓練が主であり、作業療法士さんは手に関わる活動が主であり、というところです。
そして言語聴覚士が担当する首から上、が果たしている役割となると…
食べる、喋る、聴く、考える
こんな感じですね。厳密にはもちろん見る、嗅ぐ、などまだまだありますが、言語聴覚士が担当する領域としては↑で挙げた4つが大きいところです。
ちなみに言語聴覚士を略称で示す時、「ST」と言います。これはspeech therapist(スピーチセラピスト)の略であり、「話す」のスピーチから略称も来ているというわけですね。
これらについて、リハビリをしたりハビリテーションをしたりします。
リハビリはともかく、ハビリテーションってなんぞ?という方も多いと思いますので続いてはその辺りをご説明しますね。
大まか説明2 リハビリも、ハビリテーションもする
首から上を担当するリハビリのスタッフです。
これが一番、言語聴覚士という職業を端的に表すことのできる表現です。それはそう、確かなことなのですが…少し違和感もあります。
それはこの、ハビリテーションという要素が抜けてしまうなあという個人的な思いからだったりします。
リハビリとハビリテーションの違い、それはすっごく噛み砕いていってしまうと大人が対象かお子さんが対象か、と言ってしまってもいいかもしれません。
リハビリの「リ」は再び、戻す、といった意味の「Re」です。
大人の方が脳血管疾患やサルコペニア、パーキンソン病、肺炎など挙げていけばキリがない様々な原因で低下した能力を取り戻すことがリハビリなわけですが…
お子さんの場合は、これから獲得していくことへのアプローチが主となってきます。もちろん何かしらのご病気などでお子さんのリハビリをすることもありますが、比率としては「リ」ではないことが多いです。
リハビリテーションから「リ」を取った「ハビリテーション」も、言語聴覚士の大切な役割だったりします。
具体的に言えば、発達障害や発音の不器用さ、吃音、学習障害、緘黙症、言語発達の遅滞といった、何かしらの発達の偏りなどのあるお子さんへのアプローチも担当します、ということですね。
言語聴覚士全体のうち、小児領域を経験する者は3割程度と言われています。
ですので割合としてはややマイノリティになってしまうのかもしれませんが、僕自身も深く関わらせて頂いている分野であり、社会的なニーズも高い領域だと思っています。
この、「ハビリテーション」という領域もあるので「リハビリの職業です!」と言いきるのに少し違和感というか寂しさもあるなあ…というスタンスだったりします。
ぶっちゃけ、細かい言葉のあやレベルの話ではあるんですけどね…
大まか説明3 脳や神経、医学的知識に強い
さて、僕は今カウンセリングの仕事をメインとしているわけですが…その際には公認心理師として学んだことを活かしながら行わせて頂いています。
と同時に、言語聴覚士として培ってきた知識、経験、技術があったことも本当に良かったなあと思っていたりします。
まず1つ挙げられることとして、脳や神経の仕組みに強い、ということです。
心理職として勉強する際に大きな比重を占めるのは、先人たちが積み上げてきた心理というものに対する知見、精神疾患に対する知識、関連する制度の活かし方などなどなどなど多岐に渡ります。
これら無くしてカウンセリングならず、というのは当然と言えるほど重要なことです。
一方、言語聴覚士の強さというのは脳の仕組み、機能に対してより深い知識があることと言えます。
脳梗塞や脳出血などの脳の疾患に対するリハビリテーションが主戦場とも言える職種ですからね。
心を動かしているのも脳ですので…
前頭葉のこの部分に弱さがあるからこういう考え方に至りやすいのかもしれない、左右のバランスが悪いと、側頭葉の機能が…などなど、脳科学的視点から見ることで、心理的な動きや発達障害、その他さまざまな要因による困難さに対してより分析的な見方をすることができます。
公認心理師に加え、言語聴覚士としてのベースがあること。それは僕がカウンセリングを行う上で、とても有用な財産となっていると実感する日々です。
さて、言語聴覚士という職業に関する大まかな説明編、はここまでとしたいと思います。
つづきの記事では、実際に発達障害がある方とどう関わっているのか、などもう少し具体的なお話しも書ければと思っているところです…では今回はこの辺りで失礼いたします☆
まの☆言葉と発達障害と心の専門家さん