まのぱぺ相談室

言語聴覚士ってなにをしている人?【専門領域編 前編】

こんにちは、まのです。

前回の記事に引き続き、言語聴覚士のお仕事について書いていきたいと思います。

恐らくですが公認心理師は「カウンセラーさんですね!」とか「精神的な不調へのケアをする仕事」などイメージがつきやすいのでは、と思う反面、同じ医療系国家資格でも言語聴覚士というのはまだまだ一般的に知られていない姿が多いのでは、と思いますので…

当まのぱぺ相談室のカウンセラーである、まのが主戦場としてきた領域でもありますので、カウンセラー選びの参考として頂けると幸いでもあります。

今回は専門領域編、ということで具体的にどんな障害や疾患の方を対象としてアプローチしていくものなのかを挙げてみたいと思います。

とはいえ専門領域を書くだけでもけっこうな量になり、前後編になってしまいました…どの職種もそうなのかもしれませんが、できるだけ語弊や誤解なく書こうと思うと文章量が多くなってしまうことをご容赦くださいませ。

専門領域1 コミュニケーション(失語症、発達障害など)

言語聴覚士が最も専門性を発揮できる分野といえばここではないでしょうか。
コミュニケーション、つまり資格の名前にも入っている言語と密接に関わる部分です。

もっとも、コミュニケーションというのは言葉だけに限りません。
実際には言葉を使わない振る舞い、表情、慣習、視線、いわゆる空気を読む、といったことなどさまざまなところまでまるっと含んでコミュニケーションは行われています。

言語も非言語も含め、コミュニケーションの難しさを抱える方々への支援、というのが言語聴覚士の大切な役割と言えます。

脳梗塞などの後遺症で言葉に影響が出るものの代表的な障害が、失語症です。
大まかな古典分類と呼ばれるものだけでも7タイプに分かれ、失語症というものを知ると『言語』というものの奥深さ、それを操るために人の脳がいかに高度なネットワークを構成しているか、を感じられるものでもあります。

また、生まれながらにコミュニケーションに難しさを抱える場合があるのが発達障害や特異的言語発達遅滞、といった発達の特性によるものですね。

失語も発達障害も、特異的言語発達遅滞も、どう実生活での困難さに対処していくかは実に様々です。

訓練を行うことで、その人の力自体を伸ばしていく方法もありますし、あるいはその人の得意な分野を使うことで弱い部分を補う方法も。
電子機器やノートといったツールを有効活用する角度からの対処法もありますね。

やはりなかなか一口に書ききるのは難しいのですが、これらは最も言語聴覚士の専門性が発揮される場面の1つだと思っています。

…それにしても……もっとカジュアルに書いてみたかったのですが、どうしてもお堅い文章になってしまってもどかしい( ;∀;)

専門領域2 発声・発語(吃音、発声、構音障害など)

さて2つ目にご紹介するのもコミュニケーションに関することです。

同じコミュニケーションに関することなのに、1と別に領域があるとはこれいかに…というところですが、こちらで取り上げるのは話し言葉の音や出し方の障害です。

専門領域1の部分をランゲージ(言語)、専門領域2の部分をスピーチ(発話)と言うと少し分かりやすいかもしれませんね。

ランゲージは頭に話す言葉を思い浮かべる段階。一方こちらは、浮かべた言葉を実際に声に出して表現するパートです。

吃音ではどもりや音の連続といった難しさがあります。
発声障害では声帯などの異常から、声が出せない、あるいは出せるけども本来の声質ではなくなっている状態などを指します。
構音障害はお子さんの場合、さ行がた行になるなどの音の未熟さ、大人の方の場合は脳梗塞などの後遺症で舌がうまく動かせず聞き取りづらい発音になっている状態を主に指します。他にも舌癌で舌を切除した場合や、口蓋裂といううまれつき口の天井が割れているお子さんなどによる障害も対象となったりしますね。

専門領域3 聴覚障害

3つ目はこちら、聴覚についてです。言語聴覚士、と資格名にも入っている『聴覚』についてですね。
ここについても言語聴覚士が専門性を多いに発揮する分野…に間違いないのですが、実際には聴覚障害領域に携わる言語聴覚士は全体のおよそ1割ほどだと聞いたことがあります。

実際に僕の周りでもごく限られた人しか関わっておらず、僕自身も経験が無い領域です。需要はあるはずなのですが、まだまだ聴覚障害に対してより専門的にアプローチできる機関が限られている、というのが現状かもしれません。

さて聴覚障害に関わる言語聴覚士が実際に何をしているかというと…聴力検査の実施というのもありますが、こちらは看護師さんなど他の職種でも行うことが多々あります。
より言語聴覚士が専門的に関わるのは、検査により難聴が発覚したその後に対してが多いです。

特に、人工内耳や補聴器といったもので聴力をカバーするお子さんに対しての訓練で専門性が発揮されます。

僕も自分が言語聴覚士として勉強するまでイメージが湧きづらかったのですが…生まれつき耳が聞こえづらいお子さんが、人工内耳を使ったからといってすぐに言葉を認識できるわけではないのです。

音というものがほとんど存在していない世界で生きてきたお子さんですから…たくさんの音に慣れ、吸収していく必要があるんですね。
そのため実は人工内耳を付けてからも、言葉を認識し獲得していくためには訓練が重要となります。そこで言語聴覚士が深く関わっている、というわけです。

次回は高次脳機能障害(失語以外)と嚥下について

というわけで、今回は言語聴覚士が携わる専門領域を3つご紹介しました。
主にコミュニケーションに関する領域というくくりにさせてもらっています。

というわけで後編となる次回では、コミュニケーション以外の分野について2つを触れていきたいと思います。
具体的には高次脳機能障害(失語以外)と嚥下について、です。

高次脳機能障害とはなんなのか、などはまた次回の更新の際にお話しできたらと思います。

しかしやっぱりこうして書いてみると、どうしても教科書チックな内容になってしまいますね…。
もう少し具体的なエピソードを書こうかとか、でもあまり言語聴覚士を深掘りしすぎてもこの相談室と本筋から離れていってしまうかな…など迷いながら書いております。

ちょっと堅苦しいお話しが続いて恐縮ですが、ひとまずご興味のある方は続きも楽しみにしてもらえると嬉しい限りです。

まの☆言葉と発達障害と心の専門家さん

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