こんにちは、まのです。
前回概要まで書かせて頂いた、ゲーム行動症についての記事の後編です。
今回もなかなかボリューミーな記事になっておりますので、前置きはそこそこに早速本題に入りますね!
まだ読んでいない方は、よかったら↓の前編の記事もご覧ください。
ゲームをしすぎることが問題なのか
この研修会でとても考えさせられたのがこの見出しにもなっているテーマです。
冷静になって考えてみると、ゲームをしすぎることの何が問題なのでしょうか?
たとえば、親御さん方としてはお子さんが毎日ゲームに夢中になっていると心配になっても不思議ではありません。
勉強はできているのか…他に趣味でもあった方がいいのではないのか…友達付き合いはできているの?と様々な不安がよぎります。
確かにこれらの不安は至極当然なものなわけですが…一方で前述したように、ゲーム行動症というのは自然軽快率が高いものでもあります。
ギャンブルや薬物と違い、ゲーム自体に強烈な依存性があるわけではないのです。
ではなぜゲームに夢中になり、一時的かもしれないとはいえゲーム行動症と呼ばれる状態に陥る方たちがいるのでしょうか。
少し視点を変え、こういう考え方も必要ではないでしょうか。
ゲーム行動症と呼ばれるほど、ゲームに捉われる子たちは現実社会で課題を抱えているのではないか。
学習面、友人関係、いじめ、家族との不和、その他あらゆるストレス…
こうしたフラストレーションを抱えた子たちが、家の中の限られた場所で手に入れられる安全基地。それがゲームになっているのかもしれません。そう考えるとけっこう切ない話です。
いわばゲーム行動症の方にとってゲームは、現実社会での満たされない心の受け皿となっているかもしれないのです。
この勉強会に出席されていた医師から出た意見が印象的だったのですが…
ゲームを楽しんだ上で、現実にも戻って来れるのであればそれは遊びの範囲、というものがありました。
遊びは、活力を高めたり不安を軽減するといった大切な役割があります。
ましてや現代社会では、子どもたちが気軽に集まったり運動したりといった遊びができる環境がどんどん減っています。
そうした場が無い中で、ゲームの負の側面ばかりに注目するのは子どもたちにとってさらなる負担という考え方もできます。外に出る場所もなく、ゲームもできず、ダメダメ尽くしでは子どもたちはどうすればいいの?という状態です。
お子さんがゲームをしている時間が長いと感じた場合、周囲の大人は少し冷静な目が必要かもしれません。
ゲームをしながらもある程度自制できているのであれば良し、という見方も1つでしょうし…。
逸脱したゲームへの執着を見せているのであれば、ゲームという現象そのものだけでなく、その子全体を見て対応を考えた方が親子双方にとって良い方向へと進めるかもしれません。
他の依存症とゲーム行動症の違い
さて、前後編を通じてお話しとしては終わりに向かっているのですが…おまけ的に他の依存症とゲーム行動症の違いにも触れておきます。
前編で後述します、とか書いておきながら入れるところが無かったもので(^_^;)
なぜゲーム行動症は他の依存症と比べて自然軽快率が高いのか…?
これは1つには、ゲームがもたらす快感の特性が関係している可能性があります。
ゲーム行動症の方にとってゲームというのは、スリル・臨場感・迫力といったポジティブな快感によって生じるものより、現実で受けた傷を癒す場であるという面の方が大きいというのです。
もちろんゲームにもスリルや臨場感などはあるわけですが、ギャンブルやドラッグのように強烈なドーパミンが出るものでも無いわけです。
それよりも、たとえばオンラインゲームの中で頼られる優越感であったり、自分の居場所があるという感覚であったり…現実で受けたマイナスをゼロに戻す癒し、という意味合いが大きいという考えですね(これはこれで、根治的ではないものの大切な役目をもった活動とも言えます)。
この観点からいくと、中高生ぐらいの子が5年後もゲーム行動症の状態が続いていた例がゼロだったというのは少し納得がいくかもしれません。
この年代にとっての5年は大きいですからね…当人にとっては永遠に続くと思っていたようなストレスも、ガラッと状況が変わっているということも珍しくないでしょう。
また、人間が依存を起こしやすいものには3原則があるそうです。それは
1楽しい
2疲れない
3飽きない
というもの。ちなみにひと昔前のゲームは数週間もすれば飽きるものが多かったわけですが、現代のゲームはオンライン化や継続的なアップデートで飽きにくくなっています。
この辺はゲーム行動症の方が増えるリスクとして、今後挙げられるものなのかもしれません。
さて、この3原則はゲームという娯楽にも当てはまるわけですが…
「最近のゲームは疲れてできない」といった大人の方の言葉を耳にすることはありませんか?
実際、僕自身もかなりのゲーマーですが30代後半になってできるゲームのジャンルは限られてきました。
若いときは疲れ知らずで無限にできる気がしていたゲームも、年齢とともに疲れの対象となってくるわけです。
この辺りも、ゲーム行動症が長期間持続しにくい要因の一つではないかという意見がありました。なるほど…
ときどき思いますが…加齢による衰えって疎ましいものですが、ときに生きていくために必要なこともあるんですよね。話が逸れますが、生物ってよくできているな…と思ったりもします。
まとめ
今回の記事はボリュームたっぷりな内容で、読まれる方も大変だったのではないかと思います。
最初は1編にしようと思っていたのですが長くなりすぎたので前後編にしました…最後まで読んで下さりありがとうございます。
この勉強会、本当に学ぶことが多く…実際はまだまだここに書ききれないほど様々な視点から得られたものがありました。
引き続き勉強していきたいと思うとともに、もしこれを読まれた方がゲーム行動症というものに対して興味をもって頂ける機会になっていたらとても嬉しいです。
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まの☆言葉と発達障害と心の専門家さん