まのぱぺ相談室

恋愛の悩み

発達障害と性の悩み…keep safe研修を受講してきました!(後編)

前編の記事は↓から

こんにちは、まのです。
すみません前編から間が空いてしまいましたが…発達障害と性の悩みというテーマで受講した研修についての後編を書かせて頂きますね。

その名もkeep safeインストラクター講習…世界的に広まりつつある性のトラブルシューティングの考え方・方法、という前回に引き続き大雑把な説明をひとまずさせて頂きます。

不同意性交の線引きの難しさ

性加害や性被害…とても重たいテーマであり、字を見るだけで拒否反応や嫌悪感が出る方もおられるのではないでしょうか。
そうした方はひとまず、無理してこの話題と接するよりご自身の心身を大事にされた方がよいと思います。

ただ、僕たちのような支援する側に回る身としては丁寧にその現実を見ていく必要があります。
ここにおける支援というのは、加害者になってしまうことを未然に防ぐことであり再犯を防ぐことであり、それは新たな被害者が生まれることを防ぐことになります。

こうした視点をもとに、なぜ加害者の方が性加害という道に進んでしまったか、を考えると。
当然理由は様々なのですが…一定の割合であるのが、その方にあった情報取得の機会があれば、防げたかもしれないケースです。

たとえばですが、不同意性交というワードが話題として扱われることが多くなっています。
例として交際前の二人がホテルに行った場合、『そういうことが起きて当然』と考える方もいれば『そんなつもりではなかった』と考える方もいる。
暗黙の了解や個人の価値観の尊重、古い言葉にあるような『いやよいやよも好きのうち』という考え方の是非など…過去には通じていた解釈が通じなかったり、見方を変えればなあなあで対処されていた問題が毅然と対処が可能となったり…

良くも悪くも昨今はこうした言語化しづらい感覚の変化の最中にあるのだと思います。
発達障害や知的障害の有無を問わず、誰しも変化についていくのが大変です。松本人志さんを取り巻く女性問題についても、時代が違えば表面化しなかった話かもしれません。

敬遠するだけでは解決は難しい

こうした目に見えない線引きの応酬のようなものが目まぐるしく行われている日々ですので…言語化されていないものを知るのが苦手な、発達障害や知的障害のある方にとってより一層難解な状況です。

「いやよいやよも好きのうち」なんて難解の極みですね。
あるときは「いや」と言ったら嫌に決まっているんだから身を引きなさいと言われ、あるときは「いやと言っているけど好きなんだよ」と言われ…。

大雑把すぎる説明になってしまいますが、このような解釈の違いから性犯罪につながってしまったケースも実際に存在します。
本人は同意のもとと思っていたが、実は同意ではなかった。
あるいは女性側に発達障害があり、性行為のリスクや相手のもつ意図を想像できなかったために、性犯罪や望まない妊娠という結果につながってしまったケース。

これらのケースに対して言えることは、当事者たちが正しい情報をもっていたら結果は違っていたかもしれない、ということです。
性交渉や恋愛感情における同意とはなんなのか、もし不適切な選択のもと行為に及んでしまったらどのような結果が待ち受けるのか、それが自分や相手の人生にどう影響するのか。

つい、世間的にはそんなこと教わるものではない、といった発想や、具体的に教えられることではない、という発想になってしまいがちです。

keep safeの考え方は、これらの課題に真っ向から向き合い敬遠しないことです(と、研修を受講した僕は感じました)。
発達障害や知的障害があって、これらの言語化しづらい要素の想像が難しいのであれば、いかに伝わるように設定するか。
いかに目に見えないプロセスや人の感情、未来に待ち受けることを見える化し、本人に疑似体験してもらいながら経験として落とし込んでいくか。

keep safe講習自体が有料且つ、著作権もあるプログラムですので具体的な内容の記述は避けますが、概要としてはこのようなものとなっています。

これは実際に目にした感想として、想像を超えた徹底ぶりでした。

keep safeとトラウマケア

このように書くと、keep safeは性犯罪を犯した方を徹底的に矯正するプログラム…のように思われてしまうかもしれませんがこれも違います。
keep safeの重要な概念として、加害者になってしまった方のトラウマケアというものがあります。

犯してしまった行為に、しっかり向き合って再発を予防する。
これはもちろん大切なことですが、向き合うにも段階というものがあります。これまで過去に行われてきた再発防止プログラムというものは、「〇〇をしてはいけない」というようにしてはいけないことを一方的に講習形式で伝えるようなものが主でした。
運転免許更新のときに受ける、安全運転講習のようなイメージが合うかもしれません。

しかし、これは再発予防に十分な効果があったとは言い難いのです。
理由としてはいくつか挙げられますが、そのうちの1つが本人のトラウマを刺激してしまうというもの。

加害者側も多くの場合、家族や知人友人からの失望、社会的信用の失墜、警察や検察、裁判といった経過で起こる取調べ等、激しい精神的ダメージを追っています。
被害者はもっと辛い…という考え方はもっともですが、再発予防という観点でいくとこの加害者の受けたダメージのケアも大切なことです。

というのも、本人が深く反省し二度と同じ過ちは犯さない…と固く決意をし、それからの人生で実現していくためには周囲との信頼関係は欠かせません。
どんなに固く決意をしたとしても、社会の中で孤立し、誰も信用ができない、自分はダメだ、誰も自分のことを信じてくれない。という状態ではその決意を持ちづけることは困難です。人はそれほど強くはできていません。

また、いかに優れたプログラムがあっても、本人がその情報を受け止めることができなければその方のためのスキルとして身につくことはありません。
一方的に「〇〇をしてはいけない」というようにしてしまった行為と向き合わせることは、その方のトラウマを強く刺激し情報を跳ね除け、見たくない聞きたくないという感情にさせてしまいます。

ではどうするか…という工夫が盛り込まれているのがこのkeep safeプログラムということですね。
この辺りの考え方はとても勉強させて頂くものが多くありました。

keep safe講習で得たこと

まず言えるのは…こんな言い方は軽すぎるのかもしれませんが大変興味深いプログラムでした。
今後、僕は地域のkeep safeインストラクターとしてチームで活動していく機会もあると思われます。具体的なスケジュールまで決まっているわけではないので、思われる、という表現に留めておきますが。

当然そのときに直結する内容ですのでこの時点で収穫だらけなのですが…。

加えて、日常的なカウンセリングの際にも反映できる考え方が数多くありました。性に関する課題という、デリケートな話題にどう向き合うのが適切なのか。
また、発達障害がある方に対して、より伝わりやすい工夫というものも新たな発見がありました。この分野に関してはこれまでもかなり勉強してきたつもりですが、まだ工夫の余地があるのと知れたのも良い経験でした。

改めて新しいことを勉強し続けることの大切さを知る機会ともなりましたし…今後とも研鑽を続け、電話相談やメッセージ相談に還元できるようにしていきます☆

まの☆言葉と発達障害と心の専門家さん

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