「自立しなきゃ」と職場や家庭のプレッシャーに疲れたあなたへ。本当の自立とは依存先を増やすこと

こんにちは、言語聴覚士・公認心理師のまのです。

「もう大人なんだから、自分のことは自分で」
「早く自立しなきゃ」

特に違和感なく、子どもの頃から耳にしてきた言葉ではないでしょうか。

なにげないこの言葉の裏には、「自立=誰にも頼らず、ひとりで何でもできるようになること」という強烈なメッセージが隠れているようにも感じられます。

今回のコラムは、でもその考えって本当に正しいんでしょうか?というお話。
というのも、当まのぱぺ相談室でお話を伺っていく中でもやはりこの、『自立に対しての偏った信念が生む苦しさ』という話題がたびたび登場してきます。

そこで今回は、『自立って本当は一体なんなのか?』という疑問について、「自立とは、依存先を増やすことである」というキーワードをもとに僕なりの答えを書いていきたいと思います。

職場や家庭で限界を迎える大人たち。「自立の呪縛」とリアルな声

小児科医であり、脳性麻痺の当事者でもある熊谷晋一郎先生の言葉に、「自立とは、依存先を増やすことである」という非常に有名なものがあります。

僕としては非常にハッとさせられる言葉でした。
なんというか、確かに頭の中にある発想ではあり、世の中に感じている違和感ではあったものの、ここまで端的に表現することができるのか。という感覚です。

依存というと悪いイメージが先行しますが、必ずしも悪ではない。
自立と言うと、依存せずに生きていけるように、という意味に思えるがそうではない。

むしろ、上手に頼れる先を作ること。助けてほしいときに、助ける相手がいて、助けてと言えること。
その重要性を明確に打ち出して下さった言葉です。

だからこそ障害の有無にかかわらず「自立とは、依存先を増やすことである」

こうした考えを医師が明確に言葉にして発信して下さるのは、本当にありがたいことだと感じています。

日々カウンセリングをしていると、ひとりで抱え込みすぎて限界を迎えている大人の方から多くのご相談が届きます。
(以下、例が出てきますが個人が特定されないようフェイクを混ぜた内容にしています)

例えば、休職中でまだ心の傷が癒えていないのに、「早く自立(復職)しなければ」という焦りから復帰を急ぎ、さらに深手を負ってしまう。
パートナーへの適切な頼り方が分からず、片方の親だけが100%の重圧を背負い込んで子育ての中で孤立してしまう。

頼りたい気持ちはありつつも、頭では分かっていても頼ることが難しい。
その背景には、過去の経験からくる「独り立ち=自立」という誤った信念が絡んでいることが少なくありません。

あくまで例ですが、親の過干渉のもとで育ったり、逆にずっと親の「お世話係」だった人は、誰かと安心できる環境にいると「自分はまだ自立できていないのではないか」と不安になり、自ら孤独な道(一人暮らしや離婚など)を選ぼうと焦ってしまうこともあります。

また、職場で周りが優しく許してくれているのに、「自立しなきゃ」と一つの失敗から執拗に自分を責め続け、他者からの助け舟を受け取れない方もいます。

こうした背景がありながら、依存先を増やせばいい。という答えだけを渡すのはちょっと短絡的すぎる気もします。

ただ、まず大切なこととして「自立=依存しないこと」ではないということをお伝えしたいと思います。
上手に頼ることも、大切な自立の概念の一つなんですよね。

自分を責める前に。僕がおすすめする小さな依存先(小休止)

その方なりの深い背景があるのに、それを解消しないまま「自分を責めるな」「人に頼れ」と言うのは、あまりに酷な話です。
そもそもが本来、ひとりで乗り越えるのは非常に難しいハードルですからね。

「ひとりで完璧にやらなきゃ」という呪縛から抜け出すには、小さな依存先を少しずつ増やしていくというのも大切な対処法です。

かく言う僕自身も、無数のものに依存しながらバランスを取っています。

週に1〜2回、YouTubeや録画したテレビをダラダラ見ながらウイスキーを飲む時間は最高の小休止ですし、ゲームをしたり、大好きなJリーグの試合に熱狂したりする時間は、日々のモヤモヤや疲れをちょっと遠ざけてくれます。

また、古い友人たちとの時間や、オンライン相談室とは別に行っている非常勤の現場で、信頼できる同僚たちと語り合う時間も大切な依存先です。

面白いもので、一見すると堅苦しい勉強会や学会も、何かに集中して学ぶことで不安なことから自分を切り離せる、僕にとっては大切な逃げ場(依存先)の一つになっているのかなと思います。

こうした小さな依存先があるからこそ、根っことなるその方それぞれの埋まっていない何かを埋めていく時間にもつながっていきます。

その上で、どうにもならない苦しさを抱えているときはやはりカウンセリングや医療というものを頼っていいのだと思います。

このことについて、次の見出しでもう少し掘り下げてみます。

カウンセリングも一つの依存先。あなたに合った安全基地の作り方

ちなみに依存先は、人でも、ペットでも、お気に入りのカフェでも何でもいいです。

繰り返しになりますが、ひとりで何でも自己決定できることが、自立ではありません。
社会的な定義はまだ議論の余地があるのでしょうけど、少なくとも僕はそう思っています。

上手に頼れる先をたくさん作り、困った時には「助けて」と声を上げられること。そうやって、いろんなものに少しずつ寄りかかりながら、自分らしく生きていくことこそが本当の自立なのだと思っています。

人への依存を経験する上で、まずは第三者の専門家を頼るのが一番安全で、ハズレが少ない方法です。

お金という代償を払うからこそ、気兼ねなく頼れるというのも、カウンセリングの大きなメリットです。
根っこにある苦しみに伴走してもらいながら、一緒に共同作業で安全基地を作っていく。
その経験が、「頼っても大丈夫なんだ」という安心感に繋がります。

全部をひとりで背負い込む前に、こうしたあなたに合った依存先にぜひ頼ってみてください。

もちろんその中から、当まのぱぺ相談室を選んで下さった際には力の限りを尽くさせて頂きます。一緒に、上手に頼るための作戦会議をしましょう。

一人で抱え込まず、専門家に相談してみませんか?

単発のご相談から、定額プラン、LINEでのミニ相談まで。
ご自身のペースに合わせた具体的な作戦を一緒に考えます。


この記事を書いた人:まの (まのぱぺ相談室代表)

【保有資格】
言語聴覚士 (国家資格) / 公認心理師 (国家資格) / 正規Keep Safeインストラクター修了

【主な経歴・実績 (臨床経験10年以上)】

  • 元・看護専門学校 非常勤講師(リハビリ概論/言語・高次脳機能障害などを担当)
  • 急性期病院での小児~成人リハ (失語症、嚥下、高次脳機能障害)
  • 1歳~18歳までの支援 (発達障害、ことばの遅れ、吃音、緘黙、学習障害など)
  • 重症心身障害児・者リハビリテーション
  • 保育園へ毎月訪問し、保育士さんとの意見交換業務を継続中
  • 学会での発表実績あり (令和8年も発表に向けて準備中!)

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