こんにちは、まのです。
また最近何かと慌ただしく、コラムや動画の更新が滞りがちに…。前回の記事の日付を見るとあっという間に日にちが過ぎていることを改めて実感し、戦々恐々です(^_^;)
なかなか以前のように週2、3本と更新できず申し訳ありませんが、可能な範囲で頑張っていきたい所存です。
さて今回の記事は、タイトルにもありますようにシークエンスジェネレーターというまだまだ医療職の間でも知られていない概念についてご紹介しようと思います。
youtubeの動画では少し前に触れているんですが、もっと取り扱う価値のある話題だなと思っておりますので改めまして。
では最初に動画を貼らせて頂きます。
ショート動画で紹介した概要
まずは早速動画をどうぞ。
見られない環境の方や急いでいる方へ向け、↓へ簡単にまとめも載せますね。
1分の短い動画ですがざっとまとめると…
・人間の機能として、幼少期からの積み重ねで書き順や筆の運びのパターンを学習していくsequence generator(シークエンスジェネレーター)というものが存在しているのではないか。
・という論文を2018年に畑中マリ先生が発表されている。
・この機能があるために、たとえば日本人であれば初見の漢字であってもおよその書き順や書き方を推測しながら書くことができる。
・この力に弱さがあるお子さんが一定数おられ、書字障害の原因の1つとして考えられる。
という内容のものです。
学習障害、特に読み書きの障害に関しては従来から指摘されている原因(音の認識や視覚の認識、)というものがあるわけですが、僕が先日ご相談を受けたお子さんが従来の考えたではどれも説明がつかない状態でして…。
そのために調べていた結果、どうやらこのお子さんはこのシークエンスジェネレーターの機能に弱さがあるのではないか、という推測に至ったという流れです。
sequence generator(シークエンスジェネレーター)は新しい概念
このシークエンスジェネレーターという概念ですが、2018年の論文が初発ということからも分る通り、まだまだ新しい概念です。
これには明確な理由があり、読み書き障害の研究をリードしてきた欧米諸国の場合、アルファベットを日常的に使用するわけですが…。
日本語の漢字のように、書き順が多かったり未知の文字がたくさんある、という状況は英語圏では起こりえません。
そのため、シークエンスジェネレーターの障害のみが理由で書字に影響が出るという状況は、英語圏の方には起こりづらいと考えられます。従来指摘されてきた原因で大方の説明がつくわけですね。
一方で漢字を使う日本語圏ではこうした、運筆や筆順の獲得の難しさが日常的な書き言葉に影響してきます。
まったく書けないわけではないんだけど、不器用とか悪筆というレベルを超えて文字の形が整わない…。あるいは通常では考えづらい書き順をしたり、何度練習しても毎回違う書き方になってしまう。という状態の場合。
往々にしてそれらは、ASDによるこだわりの強さを理由とされたり、本人の努力不足やふざけているのでは?という評価を受けてしまうことがありますが。
その背景にはシークエンスジェネレーターの影響があるかもしれない、ということが段々と明らかになってきている段階です。
2018年の畑中先生の論文以降、さらに複数の先生方から準ずる報告が上がっており。
このまま蓄積が為されればシークエンスジェネレーターという概念がもっと定番のものとなっていくかもしれません。
sequence generator(シークエンスジェネレーター)の障害を疑ったら
ご自身のお子さんや、身近なお子さんで「シークエンスジェネレーターに弱さがあるのかも?」と思われる状況がありえるかもしれません。
では一体どうサポートをすれば…という疑問が浮かんでくるのが当然だと思います。
ただここについてはまだまだ議論の余地があり…というのも、シークエンスジェネレーター自体もその存在が科学的に証明されているというわけではないものです。
さらにそこから支援の根拠を積み上げていく、となると、今困っているお子さんたちはどんどん大人になっていってしまうでしょう。
ではどうしたらいいか…ともどかしいところではあるのですが。
まずは大前提として、正しくお子さんの状況を把握することが大切です。確かにシークエンスジェネレーターという存在は原因の1つとしてありえますが、実際には複数の原因が絡み合っていたりということも珍しくありません。
月並みなお答えで恐縮ですが、やはり信頼できる専門家の判断を仰ぐというところが第一歩として大切だと思います。
そうやって正しくそのお子さんの状態を知った上で、我々支援者はその子に合ったアプローチや練習方法というものを考えます。
その練習方法というものは前述の通り、現時点でエビデンスの蓄積はありません。とはいえ、1人1人の状況に合わせて手を変え品を変え、合った方法を模索していくというのは全てのお子さんと関るときの共通項と言えます。
これさえやっておけば誰でも大丈夫!という技法や関りは存在しない、と僕は思っていますので…悩ましい課題ですが、その子にあった支援を考えてくれる支援者と巡り合えることを願ってやみません(シークエンスジェネレーターが影響していてもいなくても)。
また、身の回りでなかなか相談できる場を見つけるのが難しいという場合…僭越ながら当まのぱぺ相談室でも電話相談、メール相談を承っております。
支援の選択肢の1つとして入れて頂いてはいかがでしょうか…?とチラッと営業風も吹かせながら、本日のお話しを終わりとします。
改めてですが、発達障害(神経発達症)や各医療の概念というものは日々変わっていきますので。
日夜僕自身もアップデートしつつ、目の前の大人の方、お子さんともどもに沿った支援をできるよう想像力を働かせていきたいと思います。
まの☆言葉と発達障害と心の専門家さん
まの profile (当相談室のカウンセラー)
資格:言語聴覚士
公認心理師
正規keep safeインストラクター修了
◎経験領域 (病院勤務時代)
・急性期小児~成人リハ (失語症、嚥下障害、高次脳機能障害)
・1歳~18歳までの支援 (発達障害、ことばの遅れ、(構音)発音、吃音、緘黙、学習障害、嚥下障害)
・重症心身障害児・者リハビリテーション
・保育園へ月1回訪問し、保育士さんとの意見交換業務を継続中
・学会での発表経験複数回あり

