今回の記事では、僕が令和6年2月に出版した自著について少し触れながら、当相談室が大切にしている「子供の行動をどう読み解くか」という専門的な視点をご紹介したいと思います。
行動には理由がある
ご紹介する本のタイトルは、「周りの大人ができる!発達障害(神経発達症)・グレーゾーンの子が自分で学ぶ力を身につけるための3ステップ」 (著:まのぱぺ相談室代表 まの)です。
なんだかオーバーな感じの書き方になってしまいますが、要は僭越ながら僕が書かせて頂いた本です。
お子さんの神経発達症(発達障害)に対し、ご家族や園、親戚、支援関係者など周囲の大人ができること、というテーマで書かせて頂いたものになります。
おかげさまでAmazonレビューで4.6という高評価を頂いているようです。
僕なりに一生懸命書いた本ですのでうれしいやらありがたいやら…。読んでくださった方々、本当にありがとうございます。
さて、僕がこの本で伝えたかったこと一つが「子どもの一見困った行動には、必ず理由(メカニズム)がある」ということです。
まのぱぺ相談室では、必要に応じてですが応用行動分析(ABA)などの専門的な理論に基づいた、論理的な分析も行っています。
(その方とニーズによって適用すべき理論は変わると思っているので、全てのケースでABAを取り入れるわけではありませんが)
今回はその一例として本書の中のコラムを一つ、丸ごと公開したいと思います。
多くの大人が「なぜ?」と悩み、つい感情的に怒ってしまう「ある行動」について、専門家の視点から解説させて頂いたものです。
僕が普段、どのようにお子さんの心を分析しているのか。その一端を感じていただければ幸いです。
【特別公開】わざと叱られたがる子どもたち
(以下、著書より引用)
『叱る』という行為を考える際にぜひ頭に入れておいて頂きたいことがあります。
それは、場合によっては叱るという行為がお子さんにとって罰ではなく「ご褒美(強化子)」になってしまうことがある、ということです。
小学生ぐらいの頃、好きな子をいじめてしまったことはありませんか?自分にはなかったとしても、そういう経験は誰でも耳にしたことはあるのではないでしょうか。
普通に考えれば、好きな子をいじめれば当然その子から嫌われます。好きな子にわざわざ嫌われることをする、というまったく理屈に合っていない行為になってしまっていますね。
このときいじめっ子の頭の中では「あの子と仲良くなりたいけど、どうしたらいいか分からない…だったら嫌がられてもいいからいじめちゃおう」という心理がはたらいています。
基本的には無意識なので自覚はありません。
無視されるよりは嫌われたい
本来、人が他人からもらいたい反応というのは
好ましい反応 > なにもなし > 嫌がられている反応(怒られる)
の順番であることが通常です。誰も、率先して人から嫌われたいとは思いませんよね。
ところが好きな子をいじめている人の心理では、ここに変化が起きてしまっています。
好ましい反応 > 嫌がられている反応(怒られる) > なにもなし
となってしまっているのです。何もないぐらいなら嫌われてもいいから反応がほしい、という状態です。
なんとも不思議に思える状況ですが…これは幼いお子さんに当てはめて考えると少し分かりやすくなります。
幼い子どもにとって、何も反応をもらえないというのは生きていけないことを意味します。自分では食べ物を用意したり寝る場所を確保することが難しいわけですから…幼い子どもには文字通り死活問題というわけです。
家庭内での幼児虐待など、痛ましいニュースを目にすることがありますが、あのような環境でも子どもは必死に大人を頼ります。辛い目に合うからといって、大人から離れる子どもはいません。むしろなんとかして自分の方を向いてもらおうと、必死に大人にすがりつくのです。
つまり、子どもにとって『何も反応がない』というのは恐怖ですらある状況というわけです。上のいじめっ子の心境はこれの延長線…といいますか、実際には大人でも近いことが起こりえます。
承認欲求や社会的欲求が満たされておらず、かといってその満たし方が分からない…となると嫌われてもいいので人と関わりたい、自分をみてほしい、となって人間関係やSNSなどでトラブルを起こしてしまうケースです。
これ以上掘り下げるとどんどん本筋から離れていってしまうため話を戻しますが、要は大人ですら『無視』『なにもなし』が一番つらいという場合があるんです。
お子さんにとって罰が強化子になりうる状態というのは、これもやはり『社会的欲求』『承認欲求』を十分に満たされていないときに起こりえます。
叱ることが【ご褒美】になってしまうとき
つまり、周りの人たちとの関りが足りない、もっと関わってほしいと思うがあまり、叱られてもいいから注意を惹きたがる状態です。
怒られると分かっていてわざと、イタズラや過激な悪さなど、止めざるをえないような行為をしてしまうのです。
これについても誤解がないように2つお伝えしたいことがあります。
ひとつは、定型発達とよばれ人との関りが満たされているお子さんであってもこうした状態は起こりえます。子どもは様々な突拍子もないことを思いつき、ときに親を困らせ、その経験の中で成長していくものです。
わざと怒られる行為をしたからといって、イコールご両親の愛情が足りていないとかそういった話ではまったくないので安心してください。
もうひとつは、ご両親や周囲との愛着の大小に関わらず、生まれつきこうした周りを困らせる行為で注意を惹きたがるお子さんもおられるということです。
僕が担当したお子さんであった例を挙げると…そのお子さんはお母さんが好きで好きでたまりません。お母さんと一緒にいるととてもいい笑顔をみせてくれますし、訓練に来られた当初はお母さんと離れるのも不安そうでした。
お母さんもとても優しく関わっておられ、良好といえる愛着関係です。
ですが、そのお子さんはお母さんと関わりたいと思ったとき、どうしても褒められることより叱られる行動を選んでしまうのです。
とても頭のいい子で、ありとあらゆる方法でお母さんがすぐに止めざるを得ないイタズラを考えだします。
発達に偏りのあるお子さんはこうした、大人からみると「なぜ?」と思いたくなるような行動を選んでしまう場合が多々あります。
冒頭でも述べましたが、それについては脳の発達の偏りが主な原因といわれています。だからこそ専門家と一緒に成長の手助けをしていくことが大切です。
ですから繰り返しになりますが、ご両親や周囲の関りが悪いのではと自分や人を責めることはしないでくださいね。
子どものコミュニケーション意欲を引き出すために
そのうえでお伝えします。もしお子さんの不適切な行動が、大人の注意を惹くためにしているのかもしれないと感じたら…それに対して叱ることは不適切な行動を強化してしまいます。
もしそうかもしれないと感じたら、できれば叱るのではなく他の場面でもたくさん関わってください。たくさん労って、その言葉に耳を傾けてあげてください。不適切な行動をしたときには、叱るのではなく「どうすればよかったか」を教えてあげてください。
このあたりは、本当は個別にそのご家庭に合わせて関わり方を相談したいところです。僕の表現力では文章でお伝えできるのはここまでになります…ご容赦下さい。
(引用ここまで)
あなたのご家庭に合わせた「作戦」を立てます
自著からの引用は以上になります。
自著と違い、それまでの流れがありませんので一部表現を修正させて頂きました。
一見理解しがたいお子さんの行動も、こうして「行動の機能(目的)」を分析することで、本当のお子さんの気持ちが見えてくることがあります。
ただ理屈は分かっても、実際に我が子の行動を冷静に分析し、対応を変えるのは本当に難しいものです。
それぞれの家庭環境、お子さんの特性、親御さんの状況によって現実的に取り入れやすい対応策は異なります。
まのぱぺ相談室ではこうした専門的な知見をベースにしながら、 「じゃあ、〇〇さんのお家の場合は、こんな関わり方はいかがでしょうか」 という、具体的で現実的な作戦を一緒に立てていきます。
「本やネットの知識だけではうまくいかない」「専門家に我が子のケースを分析してほしい」
そんな時は、ぜひ一度ご相談ください。これまでの臨床経験や解決策をもつ専門家として、全力でサポートさせていただきます。
(※ご紹介させて頂いた自著に興味をもって下さった方は、Amazonなどで『まの 発達障害』と検索してみてくださいね)
リンクは→から[Amazonで詳細を見る(レビュー★4.6)]
この記事を書いた人:まの (まのぱぺ相談室代表)
【保有資格】
言語聴覚士 (国家資格) / 公認心理師 (国家資格) / 正規Keep Safeインストラクター修了
【主な経歴・実績 (臨床経験10年以上)】
- 元・看護専門学校 非常勤講師(リハビリ概論/言語・高次脳機能障害などを担当)
- 急性期病院での小児~成人リハ (失語症、嚥下、高次脳機能障害)
- 1歳~18歳までの支援 (発達障害、ことばの遅れ、吃音、緘黙、学習障害など)
- 重症心身障害児・者リハビリテーション
- 保育園へ毎月訪問し、保育士さんとの意見交換業務を継続中
- 学会での発表実績あり (令和8年も発表に向けて準備中!)
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