男女の恋愛

自閉スペクトラム症ゆえの強み…その特性が支えている恋愛

こんにちは、まのです。
なんと少し忙しくしている間に、前回の記事から一週間空いておりました。自分でも驚きです(^_^;)

さて今回の記事は、どうしてもネガティブな話題が目立ってしまう神経発達症関連の話ですが、ときにポジティブな話もしたいということで挙げてみました。

僕のリアル友人カップルのお話しです。
とんでもなくお節介なことですが、僕はこの二人を見ていて思うんですよね。この二人の関係性の中で、ASDの特性がプラスにはたらいているんだろうなあと。

何様視点だよ、と自分でも思わなくはないですが貴重な実例でもありますので…ここは二人に敬意を表しつつ、神経発達症の特性が恋愛や人間関係で強みになることがあるという一例(実際、社会の中で果たしている役割はめちゃくちゃあると僕は思っていますが)として紹介させてください。

発達障害特性と恋愛の関係

世の中、発達障害がある方との恋愛や結婚の難しさという話題はよく目にします。
カサンドラ症候群という、発達障害の方のパートナーがメンタル不調を起こす病態が存在するのも事実です。
当まのぱぺ相談室やココナラ(外部サイト)で行っている電話相談でも、カサンドラ症候群といえる状態で悩まれている方々からのお電話をたびたび頂いています。

冒頭でも挙げたとおり、今回はポジティブな側面についてのお話しをしようと思いますので…上記については今回は触れません。

反対に、自閉スペクトラム症の特性がプラスにはたらいていると思えるケースについて挙げています。
一応書いておくと、自閉スペクトラム症の特性がある方すべてに当てはまる話ではありません。
発達障害があろうが無かろうが、そもそも人と人には抗えない相性というものが存在しますので…
世の中にはそういう例もある、という程度にご参照ください。

彼女と彼氏の人柄

このカップル、二人とも僕のよく知っている人物です。
なにせ男性側は僕の二十年来の友人。僕が貧乏学生だった頃はルームシェアをしていたこともあります。
女性側とも僕自身がクラスメイトだったことがあります。

ASD(自閉スペクトラム症)特性があるのは女性側で、自他ともにみとめるかなり色濃く特性を持つ方です。
エピソードで挙げておきますと…。

最近でいうと、女性側のご家族に不幸があり通夜を行うことになったのですが。
親族の方々同士で食事に行く話になったそうです。その店選びなどを彼女さんがするわけですが…居酒屋の赤からを予約しようとしているので、彼氏さん(僕の友人)が慌てて止めたそうです。
彼氏さんが「なぜ赤から?」と尋ねると「私が食べたいから」という返答だったとのことで。

友人から聞き、なかなか絶妙なエピソードだと思いました。
通夜終わりになぜ赤からではいけないのか、と聞かれると合理的な説明は難しい気もします。
ですが、やはりさすがに他の店を選ぶのが本来かなと思ってしまいます。社会通念上とか、一般的に、とか、そんな説明になってしまうので恐縮ですが。
このなんともいえないズレが、ASDさんの特性らしいなあと改めて思った次第です。

さてこの二人。正直なところ関係が成立しているのは、この彼女さんのASD特性があってこそではないかと思っているのです。

というのも僕の友人。彼もなかなか変わった人物で。
40歳手前という年齢にしてフリーターです。ここ15年ほど、ずーっとフリーターです(彼も、としたのは同世代で開業した僕も変わっていると思うので)。

ずっとフリーターをしていたのには一応理由があり、彼は自分で飲食店をもちたいという夢があります。
そのために飲食店でバイトをし続け、修行をしていたわけですね。
それはすごいこと…と思うじゃないですか。

彼のぶっ飛んでいるところは、この間いっさいの貯金をしていないことです。概ねギャンブルに使ってしまいます。それを彼は、将来お店をもったときにお客さんとの話のタネになるから、と言います。
いやバランス感覚どうなってんねん。
僕も何年も前から貯金はした方がいいとか、言ってはいたんですけどね。というか、口ではしてないと言いながら本当はしていると思ってたんですけどね。
どうも、本当にしてないみたいです。

ここだけ読むとクズ男と思われても仕方ないような…。

自閉スペクトラム症の特性ゆえに

さてこのカップル、このような状況で交際が始まり同棲してはや9年です。
同棲1年目から9年目の今に至るまで変わらず、彼はフリーターで貯金をしないまま。
そして彼は40歳、彼女さんは30才半ばに。

………なかなかこの状態でカップルを継続するのって難しくないですか?
経済面、子どものことなど将来を考えると不安が募ってしまいそうなものです。
ですがこの二人、別れる気配はまるでありません
そして彼氏さんと彼女さんがそれぞれ不幸かというと、そういった様子もありません。

まず大切なこととして、彼氏さんはご覧のように経済的な爆弾を抱えている状態ですがそれとは別に強みがあります。
彼は、とてつもなく優しいのです。自分にも人に対しても寛容です。

彼は彼女さんの特性に対して苛立ったり、怒ったりすることはありません。
それは彼女さんにとって、自分を受け入れてくれるかけがいの無い存在と出会えたと言えるでしょう。

そして彼女さんはといえば…彼の無計画っぷりを目の当たりにしながらも、それを理由に別れるという選択は決してとりません。
もちろんそれは、彼女さんの人柄ゆえと言えますが。
加えてASDの特性からくる特性が良いようにはたらいていると、僕は思っています(改めてお節介だな)。その特性とは
1.変化が無いことへの耐性が強いこと
2.将来を想像しづらいこと
3.疑わずに相手を信頼し続けられること

これらが良い方向にはたらいているのだろうと考えられます。もちろん、どこまでがASDの特性によるものであり、どこまでがその方の人間性によるものかを鑑別するのは困難ですが。
ただ、こうした傾向が無い方の多くは、破天荒すぎる彼の生活状況で付き合い続けるのは難しいだろうなあ…と友人ながら思うのです。

↑で3つ挙げた特性について少し掘り下げてみますと。
まず1.変化が無いことへの耐性が強いこと。ASDの特性がある方は、むしろ変化を嫌う場合が多いです。
9年間、同棲を続けるという時点でいろいろと物足りなくなったり、結婚などのステップへ進まない焦りから新しい異性へと関心が向いてしまう方もおられます。
悲しくもありますが、大切な二十代後半~三十代中盤を生きる上で「この人でいいのだろうか」という疑問が浮かぶのは不自然なことではないと思います。
この疑問はときにケンカや別れの原因になったりすることが多いですが…二人に関してはそうした話が出たことは一度も無いそうです。

2.将来を想像しづらいこと
この特性はしばしばASDによるマイナス面として語られます。
実際に、この特性によって苦労が生じる場面も多くあります。
ただ今回の件に関してはプラスにはたらいたと言えるのではないでしょうか。彼女さんは将来への不安もゼロではないと思いますが、将来よりも目の前の優しい彼を必要とし続けています。
未来に備えることは大切ですが、行き過ぎるとときに1でも触れたような疑心暗鬼の原因ともなりえますので…。彼にとっても、彼女さんのこうした態度が心地よいのではないかと思うのです。

3.疑わずに相手を信頼し続けられること
1と2などの傾向や、二人の相性や人間性が絡み合った結果起こったことと推測されますが…。
結果、二人はお互いをまるで疑っていません。愚直なまでに信じ、相手が自分のもとを離れることなど夢にも思っていません。

これってものすごく貴重で大切なことだと思うんですよね。
自分を無条件で受け入れてくれる存在を、今も昔も恐らく今後も得ているわけですから。
誰もが心のどこかで欲する、安らぎや心理的な安全をゆるぎないのものにしているのです。

おわりに

さて、最後にこの二人の今後についてお話します。
彼はついに自分の店をもつ決心をし、地道に準備を進め開店が目の前に迫っています。
遅まきながら貯金も始め、そのために通帳は彼女さんが完全管理しています。なけなしのお小遣い制に苦心しながらも、彼は節約生活を続けています。
結婚についても具体的な日取りを考えているようです。

果たして彼女さんは、タチの悪い将来性の無い男につかまってしまったのでしょうか…。
それとも、自分を受け入れてくれる無二の存在に出会えたと言えるのでしょうか。

答えは当人たちのみぞ知るところでしょう。

ただ一つ言えるのは、ASDがある=恋愛や人間関係でうまくいかない、かというと…当然ですが100%ということは無いですね。
その人同士でしか作れない関係性ってあると思いますので。
この友人カップルを見ていると、うまく補い合える関係の強さというものを感じる次第です。

まの☆言葉と発達障害と心の専門家さん

一人で抱え込まず、専門家に相談してみませんか?

単発のご相談から、定額プラン、LINEでのミニ相談まで。
ご自身のペースに合わせた具体的な作戦を一緒に考えます。


この記事を書いた人:まの (まのぱぺ相談室代表)

【保有資格】
言語聴覚士 (国家資格) / 公認心理師 (国家資格) / 正規Keep Safeインストラクター修了

【主な経歴・実績 (臨床経験10年以上)】

  • 元・看護専門学校 非常勤講師(リハビリ概論/言語・高次脳機能障害などを担当)
  • 急性期病院での小児~成人リハ (失語症、嚥下、高次脳機能障害)
  • 1歳~18歳までの支援 (発達障害、ことばの遅れ、吃音、緘黙、学習障害など)
  • 重症心身障害児・者リハビリテーション
  • 保育園へ毎月訪問し、保育士さんとの意見交換業務を継続中
  • 学会での発表実績あり (令和8年も発表に向けて準備中!)
上部へスクロール