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「仕事に行きたくない…」逃げたら負けの呪いを解く、心が壊れる前の『戦略的撤退』【公認心理師の経験談付き】

こんにちは、まのです。

「仕事に行きたくない」「朝、目が覚めるのが怖い」

毎日、こうしたとても重く苦しい心境と戦っている方々がおられます。
なにせ、当まのぱぺ相談室でこうしたご相談を日々お受けしている立場ですので…なんとかその方のがんばりが報われるようサポートさせて頂くばかりです。

今回はこうした「今の環境が明らかに合っていないのに、どうしても逃げることができない」という大変悩ましい状況について書いていきたいと思います。

職場であったり、通っている事業所であったり、あるいは支援者との関係であったり。
そこで力を発揮できない状況があって、自分自身がどんどん追い込まれてしまっている。その中で、頑張りたいという気持ちがある方ほど自分を責めてしまいやすいというジレンマ。

「ここで逃げたら負けなんじゃないか」
「みんな我慢してるんだから、もっと頑張らなきゃいけないんじゃないか」

今日は、そんな「逃げることへの罪悪感」を抱えているあなたへ。そして、逃げたいのに体が動かなくて苦しんでいるあなたへ。

公認心理師として。そしてかつて「逃げる」という選択をした一人の人間として、「戦略的撤退(逃げる技術)」についてお伝えしたいと思います。

(というか、僕は昔からちょこちょこ逃げて逃げて現在に至っています(;・∀・))

なぜ、「逃げる」という選択ができないのか?

明らかに辛い場所にいるのに、なぜそこから離れられないのでしょうか。
傍から見れば不思議に思えるかもしれませんし、知人やご家族などがそうした状況の場合に歯がゆく感じることもあるのではないでしょうか。

僕がたくさんの方のお話を聞いていて強く感じるのは、「そもそも逃げるための判断力すら、奪われてしまっている」というケースがあまりに多いことです。

大きく分けて、3つの心理的な罠が隠れています。

1. 「どうせ無理」と思い込まされている(学習性無力感)

合わない環境で、「お前はダメだ」「また失敗したのか」と否定され続けると、人の心はどうなるでしょうか。

「自分はどこに行ってもダメなんだ」「どうせ逃げても、次もまた同じだ」

そう思い込まされ、抵抗する気力すら失ってしまうんです。
これを心理学で「学習性無力感」と呼びます。
あなたは能力がないのではありません。「自分には環境を変える力がない」という、間違った学習をさせられているだけなんです。

余談ですがこの『学習性無力感』を証明するための実験が、セリグマンというアメリカの心理学者によって1960年代に行われました。
ワンちゃんに電気ショックを与え続ける、という現代では許されない非人道的な実験ですが…その方法の是非はともかくとして、重要なのはその実験結果です。

電気ショックを与えられたワンちゃんは最初は逃げだそうとするのですが、やがて「抵抗してもムダ」と学習して逃げることを止めてしまったんですね。

まさしく、職場やそれぞれの人間関係上で起こる学習性無力感を裏付ける結果です。

こういった状況になると、人は抵抗さえもできなくなっていく…これは個人の性格や根性の問題ではなく、生き物としての習性であり当然の結果と言えるわけですね。

2. 「疲れすぎて」決断ができない

二つ目は、単純に心と脳が疲弊しきっているパターンです。

「辞める」とか「逃げる」って、実はものすごくエネルギーを使う行為なんですよね。
人間には現状維持バイアスという、「今の状況をできるだけ変えたくない」という本能的な思考パターンが存在するほどです。
それは、変化というエネルギーを消費する手段をできるだけ避け、「現状維持」という省エネな方法を選ぶための本能です。

今の環境でギリギリまで我慢して、エネルギーのタンクが空っぽになっている状態だと、新しい一歩を踏み出すためのガソリンが残っていません。

だから、「辛いけど、動くエネルギーを使うくらいなら、このまま耐えるほうがマシだ」と現状維持を選んでしまう。
これもあなたの心が弱いからではありません。正常な判断ができないほど、疲れ切っているサインです。

3. 「もったいない」という呪い(サンクコスト)

判断を邪魔するものとして、心理学でいう「サンクコスト(埋没費用)」という罠もあります。

「せっかく3年も勤めたのだから」 「ここまで頑張ったのにもったいない」

そうやって、過去にかけた時間や労力を惜しんでしまう心理です。ですが、ここも苦しい状況ながらも考えることをやめないようにしないといけません。

過去の「3年」のために、これからのあなたの何十年という人生まで犠牲にする必要はないですよね。

人の脳や本能はときに、こうした不条理とも言えるような選択へ傾いてしまうことがありますが…自分自身や大切な誰かを守るためにも、本当に今の場にとどまることが良いのか、こうしたことを知って状況を整理することも大切ですね。

僕自身も「戦略的撤退」をした人間です

偉そうなことを言っていますが、実は僕自身も過去に組織に勤める中でしんどい思いをして、そこから離れる選択をした経験があります。(というか今もフリーランスですので、逃走中と言えます)

当時は「逃げてしまった」という罪悪感がなかったわけではありません。ですが、あのとき「現状に見切りをつける」という決断をしたからこそ、今の僕の生活があります。

現在の僕は、ひとつの大きな組織にフルタイムで属しているわけではありません。
このオンライン相談室(まのぱぺ相談室)を運営しながら、重症心身障害児のデイサービスや保育園訪問でお給料を頂いたりと、試行錯誤の日々です。

世間一般の「ひとつの会社で勤め上げる」というレールからは外れているかもしれません。
でも、複数の居場所を持ち、自分のペースで様々な現場に関わる今のこの働き方が、僕の心身には一番合っていて、自分のスキルを活かすことにもつながっていると思います。
現状、とても健やかに生きられています。

あの時の退職は、今振り返ればただの逃げではなく、自分の人生を取り戻すための「戦略的撤退」でした。
逃げることは、時に「自分に合った新しい生き方」を見つけるための大きなチャンスでもあります。決してネガティブなことだけではないのです。

心が壊れる前に、優先順位を見直そう

「立つ鳥跡を濁さず」「石の上にも三年」という言葉があり、日本では特に円満に辞めることが美徳とされているように思います。
心が健康な時なら、それを目指すのが良いのでしょう。

ですが、心が壊れそうな非常事態に、そんなマナーを守る余裕なんてなくて当たり前です。
泥だらけになっても、不義理をしたっていいと思います。あなたが「生きて、次の場所に行くこと」以上に優先すべきことは、この世にありません。

「ここから逃げたら負け」ではありません。
「ここで心が壊れてしまうこと」こそが、一番避けるべき事態です。

もし今、「逃げたいけれど、どう動けばいいかわからない」「罪悪感で押しつぶされそう」と身動きが取れなくなっている時は、まのぱぺ相談室でお話を聞かせてください。

あなたが再び安心して息ができる場所への「撤退ルート」を、一緒に考えます☆

一人で抱え込まず、専門家に相談してみませんか?

単発のご相談から、定額プラン、LINEでのミニ相談まで。
ご自身のペースに合わせた具体的な作戦を一緒に考えます。


この記事を書いた人:まの (まのぱぺ相談室代表)

【保有資格】
言語聴覚士 (国家資格) / 公認心理師 (国家資格) / 正規Keep Safeインストラクター修了

【主な経歴・実績 (臨床経験10年以上)】

  • 元・看護専門学校 非常勤講師(リハビリ概論/言語・高次脳機能障害などを担当)
  • 急性期病院での小児~成人リハ (失語症、嚥下、高次脳機能障害)
  • 1歳~18歳までの支援 (発達障害、ことばの遅れ、吃音、緘黙、学習障害など)
  • 重症心身障害児・者リハビリテーション
  • 保育園へ毎月訪問し、保育士さんとの意見交換業務を継続中
  • 学会での発表実績あり (令和8年も発表に向けて準備中!)

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