ADHDとASD(自閉スペクトラム症)の合併は存在しない?
こんにちは、まのです。
以前は定期的に僕が運営しているyoutubeとTikTokの『まのぱぺちゃんねる』のショート動画から、4本ほどオススメをご紹介するという記事を定期で上げていました。
↓のような感じですね。
これはこれでまたやっていきたいんですが…なかなか他にも書きたい記事があるのに時間が無かったりで、動画まとめ記事は後回しになってしまっているというのが現状です。
ですが時々、ショート動画でアップしつつも『このテーマはコラムでも深掘りしたい』というものがあったりします。
というわけで今回は、先日アップした1本のショート動画の中の話題についてもう少し掘り下げてご紹介できればという主旨です。
自閉スペクトラム症とADHDの併発は存在するのか
まずはその動画を貼らせて頂きます。
TikTokだとなかなかに反響があり、1万回再生を超えた動画となりました。
相変わらずyoutubeだと伸びないのはご愛敬…。
さて、動画内でも触れていますが内容をおさらいすると。
①ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)が併存しやすいということが知られている
②しかし、その理由については明確な説明はされていない
③東京大学が行った最新の研究では、ASDの方、ADHDの方、ASD+ADHDの方の脳波の動きが、三者三様で異なっていた。
④つまり、ASD+ADHDは単純な併発ではなく、ASD単独ともADHD単独とも違った機序(原因)があるのではないか。
⑤仮にASD+ADHDとされているものが、単純な足し算の合併でないのなら対処法(薬や行動の考え方)も変わってくるかもしれない
といったことを動画内でお話しさせて頂きました。
この考え方、まだまだ仮説段階ではあるんですが個人的にしっくりくるものでもあるんですよね…。
その理由については次の項で触れていきます。
言葉で表しにくい、ASDとADHDの併発とすることの違和感
ただこれは申し訳ないことに、本当に言葉で表しにくい長年の臨床経験での違和感というものが理由だったりします。
なんの違和感があるかというと、ASD+ADHDという診断がついている方の傾向についてです。
これは本当に表現が難しいですし、もしかしたら僕の思い込みかもしれないのですが…。
ASDとADHDの併発という診断の方の性格や言動は、ADHD単独の診断の方、ASD単独の診断の方ともまた違う傾向がある感じがするのです。
もちろん、併発という以上はASDらしきこだわりであったり、想像力することの苦手さ、過敏性といった特性があったり…ADHDらしき不注意や多動、衝動といったものが存在するわけでそこはその通りなんですが。
でもそれぞれの特性の在り方が、単独の診断の方ともどこか違うという印象が個人的にはありました。
ものすごーーく抽象的な話で申し訳ないです。
さらに分かりづらいことを言えば、そもそも僕の知っている先生の中には「ADHD単独」「ASD単独」というもの自体存在しない。と主張されている方もおられます。
神経発達症というくくりの中で、ASDもADHDも連続体であり「ADHD」と診断がついているならいくらかASD傾向も付いてくるし、その逆もしかり。という考え方ですね。
それを言い出すのなら、ASD傾向もADHD傾向もまったく持ち合わせていないゼロの人間って存在するのか?
という疑問も出てきますし…
アカン…これは堂々巡りになって宇宙に飛び出してしまうパターンですね。
ともかくまずここで言いたいのは、個人的にASD+ADHDという考え方についてはなんとなく違和感を感じており…その中で見つけたこの研究だったためすごく腑に落ちた気がする。
ということです。
そして、本当に大切な話はここからです。
診断名ですべて把握しようとすることのリスク
動画やコラムでたびたび触れていることではあるのですが、改めてやはり神経発達症や愛着障害、あるいは精神疾患といった分野はまだまだはっきり分からないことが多い分野です。
まあ言ってしまえば医学全般に当てはまることではあるのですが…とはいえ採血やレントゲンのように明確なデータを取りづらい領域だからこそ、不確かなことも多いと思います。
幼い頃からの精神的な成長と関わる分野ですので、対照実験などを通してのデータも得づらいですしね。
というわけで、まず言えることは診断名で全て説明しようとすることはリスクがある、ということです。
たとえばASD傾向に対してはこういう対処法がよい、ADHDがあるならこの方法が良い、という決めつけも誤りを生む恐れがありますし…。
あるいはASD傾向の方はこういう人、ADHD傾向の方はこういう人、と性格や生き方まで決めつけるのもただのレッテル貼りになってしまう恐れがあります。
そしてこれはASD+ADHDという診断がついている方も同様です。
原点に立ち返れば当たり前ではあるのですが、診断がついていようといまいと、人は1人1人違います。
特性はあくまでその人を形作るたくさんの要素のうちのカケラであって、価値観や得手不得手、人生哲学などといったものは違って当然です。
今回、ショート動画の中でも少し触れましたが…仮にASD+ADHDという併存は存在せずまた別の機序(形)があるのだとしたら…コンサータやインチュニブといった薬は効果があるのか?なども検証が必要なポイントとなってきますね。
こう思うと「確実なことが分からないなんて絶望的だ」と思われるかもしれませんが。
実は、ある意味ではそれほど重要ではないという言い方もできます。
なぜならそもそもが、特に医療従事者にとっては診断名は拠り所ではなく1つの所見にすぎないはずだからです。
診断名がある方も無い方も、重要なのはその方それぞれの課題、困っていること、苦しんでいることにどう対処していくかというところですので…。
個々人のご希望や特性に合わせて対応していくという点では変わらないはずなんですよね。
ですので、神経発達症の特性に悩む当事者の方、ご家族の方には小難しい話になって申し訳ないですが…大切なことはシンプルだと思います。
決めつけないこと、レッテルに振り回されないこと、その人をそのまま見ること。
そして、僕も含め医療従事者などサポートする側の人間は、新しい知識をアップデートし続け常にフラットな目で相手の方を見ること。
これに尽きるのではないかなと思います。
言ってしまえば、今常識と思われているものも二、三十年経てば覆っている可能性だってありますからね…。
新しい知見の積み重ねや発見に期待しつつ、勉強し続けることの大切さを改めて感じた研究のお話しでした。
まの☆言葉と発達障害と心の専門家さん
この記事を書いた人:まの (まのぱぺ相談室代表)
【保有資格】
言語聴覚士 (国家資格) / 公認心理師 (国家資格) / 正規Keep Safeインストラクター修了
【主な経歴・実績 (臨床経験10年以上)】
- 元・看護専門学校 非常勤講師(リハビリ概論/言語・高次脳機能障害などを担当)
- 急性期病院での小児~成人リハ (失語症、嚥下、高次脳機能障害)
- 1歳~18歳までの支援 (発達障害、ことばの遅れ、吃音、緘黙、学習障害など)
- 重症心身障害児・者リハビリテーション
- 保育園へ毎月訪問し、保育士さんとの意見交換業務を継続中
- 学会での発表実績あり (令和8年も発表に向けて準備中!)
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