まのぱぺ相談室

片づけられない部屋

ADHD当事者目線で挙げる、それなりに片づけられるようになるまで<成功編/環境設定ver>

こんにちは、まのです。
前回のコラムでは、ADHD特性のある僕が片づけに悩み、試行錯誤してうまくいかなった方法を中心に書いてみました。
物が捨てられないときに働く人の心理なども書いていますので、ご興味のある方は↓も覗いていってもらえると嬉しいです。

見出しについている『それなり』というのはけっこう肝のところでもあって…僕自身の中では以前より片づけられるようにはなっていますが、世間一般の平均と比べればまだまだ怪しいレベルではあると思います。
そんなに簡単に修正できるならADHDじゃないでしょうしね。

もしこれを読まれている方の中に、片づけられないことで悩んでいる方がおられたら…努力や改善しようという気持ちも大切ですが、まあいっか、の精神も同じかそれ以上に大切だということをお伝えしておきます。
僕自身、それなりに片づけられるようになった、というところで大いに満足しそれ以上は目をつぶることにしていますので。
誰でも何かしら苦手分野ってありますので…人それぞれ自分に合ったスタイルや生き方を選ぶことが一番大事です。

それなりに片づけられるようになった方法①自己分析

そもそもの僕の片づけ能力については、過去どうだったかということと現時点どうかということを前回の記事で書かせて頂きました。
なので今回はさっそく方法の話に入っていきたいと思います。

それなりに僕が片づけられるようになるために役立ったことその1は…まずは自己分析!
前回に出た片づけ本などもそうですが、世間で紹介されていたり誰かが勧めてくれる方法というのは、それはあくまで他の誰かに合った方法であり…自分にも合うとは限りません。
というより、ADHD傾向があるという数で言えば少数派にあたる以上、自分には合わない可能性の方が高いわけです。あらゆる知識やサービスは、多数派の方をメインに作られていく以上この事実は否定できません。

というわけでまずは自分が片づけられないときのパターンや理由を掴みます。
原因が分かって、そして初めて適切な対処法が分かってくるというわけですね。

このパターンについては人それぞれ様々なものがあると思いますが…僕はどうやら片づけられない当時の自分について考えたところ以下のようなものが当てはまりました。
・なんとなく捨てちゃいけないような気がする書類や土産物、取扱説明書、写真など、すぐに使わない物の置き場に困る⇒片づけ保留⇒放置
・物を捨てることに対し、粗末にしているという罪悪感から捨てられない
・すぐ休みたい衝動性が強く、帰宅後に服や買ってきた物を一旦その辺に置く⇒放置
・家具などサイズを細かく見るのが面倒で適当に買う⇒部屋に置けなかったり⇒放置
・収納する場所がそもそも足らず、狭いスペースに物を押し込もうとして余計ごちゃごちゃ⇒どうでもよくなって物を積み重ねる

と、こんなところでしょうか。他にもたくさんあるとは思いますが、キリがないので一旦この辺にします。
ではこれらが分かってきたところで次はどう対処したのか、方法を見ていきます。

それなりに片づけられるようになった方法②環境リセット

いやもう、いきなり大がかりな話になってしまって申し訳ないです。
でも事実なので書くんですが…僕の場合、引っ越しという機会無しにはなかなかそれまでの片づけられない状況から抜け出せなかったと思います。

だから『片づけられなくて困っている人は引っ越しましょう』と言うつもりはありませんが、いかに環境という要素も大切か、を感じて頂けたらなと思ってこのコラムを書いていたりもします。

というのも、①の自己分析を終えた僕は対応するために様々な作戦を考えたのですが…ぶっちゃけ自分の住んでいる環境ではモームリ(退職代行)、と思わず言ってしまいたくなるような状況になっておりました。

それまで自分なりの片づけ方自体が分からなかったので気づきませんでしたが、たとえば収納場所が足りないので確保したい、と思っても無謀な家具配置などのせいもあってどうにもスペースが足りません。

じゃあ物を捨てればいいとなるわけですが、既存の物を動かすにもスペースが狭く…八方ふさがり状態というわけです。

神様、もし一旦物を出して部屋をリセットできる機会があれば僕は頑張ります。だからどうかチャンスをください。

そう願ったかは覚えていませんが、幸いなことに引っ越しの機会が巡ってきました。
片づけとはまったく別の事情で、僕は引っ越すことになったのです。そうと決まれば頑張るしかありません。
引っ越しのついでに処分できるものは処分しつつ、僕は自分が片づけやすい環境づくりへと計画を進めたのです。

ADHD傾向のある方々は、計画を立てるのが苦手だと指摘されることがあります。
僕はこの指摘は合っているところとそうでないところが半々かなと思っており…というのも、計画を立てる、と一口に言ってもその行程は多岐に渡るわけです。
大切なのは『計画を立てる』という行程のどの場面でどのような苦手さがそれぞれの方にあるかであって、『計画を立てるのが苦手』という括り方は大雑把だなあと思ったりしています。

急になんの話だ、という感じかもしれませんが…僕がここで言いたいのは『計画を立てる』という言葉を過度に恐れないでほしいということです。

ADHD傾向がある方では、創造性に長けアイディアをたくさん出す力がある方も数多くおられます。
そのアイディアに当たれ外れはあるかもしれませんが、考えること自体が楽しいという方も多いと思うのです。
僕もそんな感じで、引っ越しという大きなイベントを前に、とりあえずどう自分の片づけられない癖と対峙していけるのか、考えること自体が案外楽しかったりもしました。

頭の中の作戦会議でもいいですし、ノートに書き留めてもいいと思います。その中でうまくいかないアイディアもあるかもしれませんが、それはそれで失敗は次に生かせますからね。
案をたくさん出せること、考えることが楽しいと思えることも大切な力の1つだったりします。

そんなこんなで僕は、引っ越しという機会から部屋の環境を一旦リセットすることができ、自分が片づけやすい環境を整えやすい状態へと向かうことができました。

それなりに片づけられるようになった方法③自分に合うアイテムをそろえる

僕が取った最初の作戦、それは…アイテムに頼ること。

まずは僕がその際実行した、アイテム選びの三原則を書きます。
①隠し収納がある家具を買って部屋を広く使えるようにする
②安すぎる商品は買わない
③今だけ頑張ると言い聞かせて徹底的に部屋と家具を採寸

この3つです。
まず①については、一番核となる作戦でもあります。作戦というか、世間では一般的な部屋づくりというのかもしれませんが…僕の中では一大プロジェクトです。

上でも挙げたように、僕が片づけられない大きな原因の中に収納場所の不足というものがありました。
一般的な一人暮らしの部屋では、僕の管理能力ではうまく収納しきれないのです。
物を減らせだの、整理整頓すればしまえるだの、そのようなご指摘は僕にはナンセンス。人それぞれの限界というものがありますので…。

そこで僕は収納場所を増やすことにするわけですが、単純にタンスなどを増やすとこれはこれで問題があります。管理下手な僕が、必要な分だけ収納を増やそうとすると今度は部屋のスペースが足らなくなってしまうわけですね。

というわけで①の原則、隠し収納という発想に至りました。どういうことか、見て頂いた方が早いと思うので実際に買った物に近いアイテムの画像を↓に並べてみます(宣伝ではありません)。

↑これ一番のお気に入りです。リビングテーブルにひっそり収納ができるわけですが…こいつの重ねていいところは、ソファに座った僕の目線までテーブル側が近づいてきてくれること。
ここで何か食べたり、作業をしたりする際に前かがみの猫背にならなくてすむのが嬉しい。

これは椅子と見せかけて収納ができるボックスです。上に座れるやつですね。
僕の部屋には来客時に椅子が足りないときのためにこれが二個あり、一個は救急箱、一個はなぜかサッカー応援グッズ専用箱としています。
座り心地はあまり良くないので一番いじられやすい人か、仕方ない(笑)ので僕自身が座ります。

これはベッド下収納として入れているボックスです。
下が空いているタイプのベッドだとこれが使えますね。これの良いところは真ん中から開くことで…半分まで引き出せば中身が取り出せることと、季節によって箱の前後をひっくり返すことで衣替えができたりもするというところです。

といった感じで、隠し収納の物をけっこう使っています。
もちろん他にもノーマルな収納アイテムも買っているのですが、こういうギミックがあるものは個人的に選ぶのも楽しくて相性が良かったです。

気を付けるべきは②の安すぎる商品は買わない、というところで…。
僕は引っ越す前の部屋だと、ケチって本棚のサイズが小さくて足らなかったり、プラスチック製の安い収納棚に荷重を加えすぎて曲がったりしていました。

長く使うものにはある程度お金を使った方が最終的には得、という精神で格安物品を避けることも大切だと学びました。
僕の場合、ダメになった物を廃棄するのもまた苦手ですしね…。
そして↑のテーブルなどギミックがあるものの場合、安すぎると耐久性や安全性の心配も出てきます。このあたりはレビューを参考にしながら、高すぎずでも安心できるラインの物を意識して買うようにした記憶があります。

そして③の『今だけ頑張ると言い聞かせて徹底的に部屋と家具を採寸』作戦。
採寸、めんどくさいんですよね…いや、やらないと困るのは自分のわけですが。
目分量で買って後から後悔する…なんていう経験も過去にはけっこうしました。
というわけでこれに関しては完全に精神論ではあるんですが、『今だけ頑張る』『今やっておかなないと困るのは未来の自分』と呪詛のように自分に言い聞かせ、奮い立たせて行いました。

しかしこれはやってみて意外な効果があり…
なんと、採寸→うまく部屋にハマるを繰り返すうちに買う前の採寸という習慣が身についたんですよね。
採寸って便利…しかもやってみたら思ったほど大変じゃない。当たり前だ、という世間様の声は聞こえないフリです。

要は成功体験を重ねることができたわけです。
引っ越しを機に一気に環境を変えられ、その中で立てた計画や行動が成功体験になった…これが自分の片づけられない癖に変化をもたらすには良かったのだと思います(直ったとは言わない)

次回は行動調整編

さて、なかなかのボリュームとなっていますし今回のコラムはここまでとさせて頂きたいと思います。
自己分析の項目であげた、収納場所が足りない問題や採寸しない問題はクリアできつつあるように見えるのですが…まだまだ『罪悪感で捨てられない問題』『衝動性で休みたい問題』などなど課題が残されています。

片づけシリーズ最終回(多分)となる次回では、これら実際の自分の行動についてどう調整していくか、僕なりにとった方法を書いていきたいと思います。

引き続き読んで頂けること、悩んでいるあなたにとって何かヒントが見つかりますことを願っています。

まの☆言葉と発達障害と心の専門家さん

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