まのぱぺ相談室

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ADHD当事者目線で挙げる、それなりに片づけられるようになるまで<失敗編>

こんにちは、まのです。
僕自身、過去にこんな記事を挙げている通り軽度ではありますがADHD特性アリの人です。

国家資格もある身ですので、きちっと専門的支援をしている身でもあると自負していますが、同時に当事者でもある。
それはそれでこの立場でないと発信できない実体験などもあったりすると思いますので…今回は僕個人の経験を主にお話しさせて頂こうと思います。

前編となる今回ではひとまず、試したけど自分には向かなかった方法をご紹介します。
次回の後編では、自分なりにうまくいった方法を書いていきます。
それぞれの個人によってやはり合う方法合わない方法、何をどうやったって難しい壁のような限界点というものも存在すると思いますので…こういう人、こういう方法もあるという一例として読んで頂けると幸いです。

そもそもの片づけレベル(数年前まで)

さて、方法をご紹介する前段階として、まずそもそも僕の整理整頓レベルがどの程度のものだったか、そして今はどのぐらいまで変化があったのか、ということを少しお話ししておきたいと思います。

これちょっと自分でも不思議なぐらいなんですが…一番ヤバかった時代というのは僕が一人暮らしをし始めた19才から34才ぐらいにかけてまででして。
今ぼくが39才ですので、ほんの数年前までは片づけられない度合いが今よりもはるかに強度だったのです。

たかだか数年前の話にすぎないのですが、過去の自分が住んでいた部屋での生活は今だと耐えられない自信があります。

奇妙なもので、当時はあまり汚部屋に住んでいるという自覚はなかったのですが。
たまに以前の自分の部屋で撮った写真などを見かけると、その景色のヤバさに戦慄したりします。
床は本やらよく分からない書類やらゲームセンターで取って来てその日に飽きたぬいぐるみやら、どう扱ったらいいか分からないまま放置して朽ち果てている結婚式の引き出物とか…

ゴミ屋敷というものをテレビやyoutubeで見たことがある方も多いかと思います。
あれと違うのは、年月による物量の差ぐらいのものなのかもしれません。生ごみや食べ物ゴミを放置することだけは抵抗があったので、それらは無いのですが…無機物のゴミがたくさん散らばっているような感じです。
ゴミ屋敷ともなるとあれが積み重なり層になるのだと思いますが、僕は一層より上は重なっていないぐらい+若干の足の踏み場があるぐらいの状態でした。
そこを超えるとさすがにマズイ、という意識はあったようです。よく分からない倫理観です。

平気で人を呼んで遊んでいたりするわけですが、今思うとよく来てくれてたな…という感じです。
本気でおかしなことを言っているのを承知で言いますが…今僕が遊びに行った先の家が、昔の僕の家のような状態だったら、一旦片づけさせてくれと僕がお願いすることでしょう。

現在の片づけレベル

これが現在では、コンディションやタイミングにもよりますが少なくともゴミの放置というのは無くなりました。
当たり前だろ、という正統派すぎる意見は胸にそっとしまっておいてください。おじいちゃんからもらった形見の懐中時計のようにそっと、です。

細かいところまで清潔さが保たれているかはさておき、床に物は置いてありません。急な来客があってもそれなりに招き入れられる状態をキープできている模様です。
一方で、超合理的というか大雑把というか適当というか…机の上は本や資料、文具、アレクサといった者たちに占拠されています。
そんな非効率的そうな状態にも関わらず、超合理的だのという都合のいい説明をするのは…一応作業スペースだけは確保されているからです。
実務には差し支えない程度に散らかっている、というのが僕の主張です。実際にはほぼ間違いなく作業効率に悪影響が出ていますが、そこは気づかないフリ大作戦です。

試してみたけどうまくいかなかった方法

さて、今回は失敗編ということですので、僕が実際にやってみてうまくいかなった方法についてご紹介していきます。
うまくいかないだけならまだしも、これらの辛いところは自己肯定感になかなかのダメージがくるんですよね…『今度こそできると思ったのにまたできなかった』『やっぱり自分は何をやってもダメだ』そんな風に悩んでいた時期が自分にもあったなあ…と思い出したりもします。

だからこそ、必要以上に失敗体験にならないよう自分にあった方法を見つけること、自分なりの頑張れる範囲の限界というものを知ること(自己理解)といったことが大切になってきます。

もし今現在片づけができないことで悩んでいる…という方がおられましたら、それは特別なことではないしそうした悩みを抱えているのは1人だけではない、ということを僕がこれから書く失敗談から感じて頂けると幸いです。

失敗1 片づけ本を買って学ぶ、周りの人からのアドバイスを受ける

これに関しては僕は多分3、4回は失敗していると思います。10代後半ぐらいには最初の本を買い…以降数年おきに買ってみてはうまくいかず、片づけ本がかさばって部屋を汚すという有様。
今も本棚に一冊ありますので、哀しき証拠として貼っておきます。ちなみにこの本は何度かメルカリで売ってしまおうかとも思ったのですが、まあそんな時代もあったな…という懐かしみもこめて残している次第です(そんなんだから片付かないという正論は禁止です)

片づけ本

これははっきり言っておきますが、今からこの本の内容がいかに僕と合わなかったかを書きますが…決して本の質が悪いわけではありません。
本の内容に文句を言いたいという主旨ではありませんので、そこは誤解なきようお願いいたしますm(__)m

さて、実に様々なテクニックが載っている本書ですが…悲しいことに今も実践できているテクニックはゼロだと思います。
なぜうまくいかないか、具体例を挙げた方が早いかと思いますので実際にページをぱらっとめくって目についたものを取り上げてみます。

Q タンスを開けると団子状態です。どうすればいい?
本の答え:吊るす服の丈を揃え、できた空き地に衣装ケースを!

これは解説するまでもなくムリです。吊るす服の丈を揃え、という一行目からできないし、それができるならADHDではない説濃厚になってきます(例外もありますが)。
そもそも本書はADHDの方に向けられた本ではないので、このツッコミはヤボなんでしょうが…。
ひとまず、この方法に関しては試す段階に入る前に諦めたことでしょう。

Q、帰ったらカバンを床やイスにどーん。座ろうにも場所なし…。
本の答え:クリフハンガー&スツール。解決に導くふたつのアイテム。

おお、こっちは1個めのアイデアよりも手軽に採用できそう。
実際僕も、キッチンにスツールを置いて料理や皿洗い中にちょこっと腰掛けられるようにしています。これはアリかも…!

と思って我が家のキッチンのスツールを見に行ったところ、朝食のお供である素材丸ごとグラノーラくんと、いつからそこにいるのか分からないハサミと、常温保存可という文言に甘えまくって置き忘れられたままの袋入りの高菜がありました。

どうりで最近スツールに座る機会が無いと思ったら…
便利すぎる場所は、ついつい別の物を置ける場所に早変わりしてしまうようです。荷物をかけられるフックを付ける、というのはアリかと思いましたが…衝動性の方が勝ってしまう場面も多いようです。

と、たかだか2問の例を挙げただけではあるのですが、残念ながら他のどの方法も①誘惑に負ける②継続できない③そもそも始める難易度が高い④空間認識能力的にも整頓が難しい
などなどの理由によって早々に頓挫してしまいがちです。

改めて言いますが、これは本が悪いと言っているわけではありません。
ただ、一般的に有効とされている片づけテクニックをそのまま使いこなそうと思っても、ADHD傾向によってそれ自体が難しいことは多々ある…。
というお話しです。実際のところ、きれい好きなADHDさんというのもおられるので一概には言えないんですが、
例外もありつつだと思いますが、僕の場合はこのような理由から片づけ本や周りの人からのアドバイスといったものは役に立てられませんでした。

失敗2 スケジュールに片づけの時間を組み込む

二つ目に試した方法は、これも何度も試みてアカンかったものです。ですので、自分には合わない方法であることは重々承知済み…。

その方法は、予めスケジュールに片づけや掃除の時間を組みこむというもの。
日常であれば、〇時から掃除機をかけるとし、〇曜日に洗面台の掃除、といった感じで決めていく感じですね。
これは掃除に限らず、僕にはスケジュール化という方法がさっぱり合わないようで何も定着していません。

たとえば〇時に掃除機、としていても「なんか調子出てきた…今この作業を止めたくない!」とか、「アカンだるい」というただただ本能に忠実なだけの理由であったりとかで、「今掃除をするのは効率が悪いから〇時からやろう」となってしまいます。
大体予想がつくかと思いますが、〇時からやろう、と先延ばしにした時点で実行できる確率は激減します。体感成功率8%ぐらいには下がってしまいます。

そんなこんなで先延ばしが日常化し、スケジュール自体が意味をなさなくなって設定するのがバカらしくなってしまう…という王道パターンです。

ちなみにADHD傾向のある方で多いのが、「人のため」や「人の目があると頑張れる」という場合です。僕もその傾向があり、自分の暮らしはこの凄惨な状況ですが、人との約束の時間に遅れることはほぼありません(20代ぐらいまではバリバリありましたが)。

その傾向を活用して、同居者がおられる場合には声かけ役を同居人にしてもらうのもアリかもしれません。その場合、絶対に逆ギレは禁物です。
どんなに気が乗らないときに行動を促されたとしても、その不満を相手にぶつけることだけは絶対にしないようにしましょうね。
相手の方も心を鬼にして声をかけてくれているわけですから…この作戦をとる場合には、自分も心を鬼にして行動するか、どうしても行動できないときは相手に謝るなりフォローを入れる、という心掛けは大切です。

失敗3 断捨離大作戦

今回紹介する、僕がうまくいかなかった方法最後は断捨離大作戦です。
そもそも物がいっぱいあるからどこにしまっていいか分からないし、しまう場所も無いし、散らかるわけで…それならとにかく持ち物を捨ててリセットしようという発想ですね。

これは実行するにはしたんですが、あまり結果につながりませんでした。
というのも、捨てられるものも確かにあったんですが…結局なんだかんだと理由をつけて捨てられないものが大半で。
期待したほど物を減らせませんでした。

物を捨てられない心理にも様々なメカニズムが働いています。
不安:捨てたことでいつか後悔するかも…
共感:誰か必要な人がいるかもしれないのに、物がかわいそうだ
責任感:人からもらったものは大切にしないと、捨ててムダにするなんて
慎重:今決めなくても、一旦保留してもいいんじゃないか

こうして見ると、捨てられない=悪というわけでもなさそうではあるんですが。
そもそも人は損をすることを過度に恐れる性質があるので…物を捨てる、という行為はある程度抵抗があって当たり前だったりもします。

ですので捨てられないことを責める必要は無い一方、ほどほどに捨てることも生きていくうえでは大切です。
ただ、捨てるという行為もADHD傾向と相性が悪いのだろうと思います。
先日僕が挙げた↓の動画でもお話ししているんですが、ADHD傾向がある方というのは小さな失敗経験を積んできた方が多く、不安を抱えやすかったりします。

この動画で挙げたのは時間についての『もったいない』という気持ちですが、本質的にはあらゆる事柄について同じことが言えるのではないかと思っています。

たとえば過去に物を無くして嫌な思いをした、という経験があれば物を捨てる際にも躊躇してしまうでしょうし…買い忘れも同様ですね。
買い忘れ→物が足りなくて困る。となると、今度は捨てるという場面でも抵抗感が強くなる。

さらにそこに、『まあ今決めなくてもいいか』という先延ばし癖が重なってくると…これはなかなかに難易度が高い決断になってきたりします。

そんなこともあり、僕自身が物を捨てるに捨てきれないという事態に陥りました。
断捨離は、決行できれば有効な整理整頓テクニックだと思うのですが、誰にどう言われようとその決行が僕にはできなかったのです。こればっかりはそこが僕の限界点、ということで仕方ない(^_^;)

次回は成功編

今回はここまで、僕自身の片づけられない癖に対抗してとった手段の失敗編をお届けしました。
実際には他にもいろいろとやっている気がしますが、記事が膨大な量になってしまいそうですので一旦ここまでとしましょう。

次回は僕なりにうまくいった方法をご紹介します。
とはいえ、うまくいったといっても世間一般の平均と比べると整理整頓は苦手なままですし…仕事場の僕の机は常にカオスですので…。
過度な期待は禁物です。というか、人間本質的にはそうそう変われませんので、ある程度努力した先は自分を許してあげることも大切です。
できないことにこだわらず、誰にでもある苦手さの1つとして受け入れ、他の自分が輝ける分野に目を向ける方がよほど健康的ですからね。

とはいえ可能な範囲でアジャストできるものはしたい、と思うのも自然なことですので…その辺のバランスもとりつつご自分の課題としているものと向き合ってもらえたらなと思う次第です。

長い記事になりましたが、最後まで読んで下さりありがとうございました☆

まの☆言葉と発達障害と心の専門家さん

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