こんにちは、まのです。
なんと6月16日にして6月最初のコラム更新…怖いことに、なぜそんなに更新が滞っているのか自分でもはっきりしない有様( ;∀;)
いえ、確かにそれなりに忙しくはしているんですけどね。にしても月10本ペースで書いていたのが月2本ペースはまずいでしょう、と。
というわけで忙しいと言いながらも、更新ペースを戻していけるよう気合を入れ直していきたいと思います(最近こればかり言っている気がする)
前置きはさておき、タイトルの件です。
先日ふとSNSか何かで目にした話題というのが『自分の子どもが電車にハマっていて、発達障害じゃないかと心配になった』というものです。
そもそもの話、発達障害の傾向があったらいけないのか、というツッコミどころもあります。世の中、何かしら傾向をもっている人って多いですし傾向自体が悪いことではありません。少なくとも僕はそう思います。
この辺の価値観の議論は↓の僕が過去に書いた記事に任せるとして。
タイトルでも挙げた『電車が好きな子は発達障害の傾向があるのか』という疑問について以下より、僕の考えを書いていきたいと思います。
結論から言うと、そんなわけない
まあ最初に言ってしまえば『んなわけない』という答えになります。
下で挙げますが、電車のもつ要素が発達障害の特性(特に自閉傾向)とマッチする部分があるのは事実でしょう。
ただ、電車を好きになる要因も様々ですからね。
発達障害の特性と電車という趣味には相性がいい部分もある、ということと、電車が好き⇒発達障害、という結び付け方は分けて考えた方がいいでしょう。
そもそも電車が好きと言っても、その好き加減も様々です。
乗るのが好き、見るのが好き、音が好き、形が好き…
一日中見ていても飽きない、電車が無いと落ち着かない、駅に行くとスイッチが入る…
ぱっと挙げただけでも実に様々です。
この切り口1つから考えただけでも、『電車が好きだから発達障害かも』というのはあまりに極論だとお分かり頂けるのではないでしょうか。
ただ、この疑問から分かることや、なぜそういう風潮につながるのか、といった視点はお子さんのことや発達障害について理解を深めることにもつながるのではないでしょうか。
というわけで、以下より電車と発達障害の関連性および、男女差という視点からもこのことを考えていきたいと思います。
電車が好きな人に男性が多いのはなぜか
発達障害と電車の関連の前に、まずはこの疑問について考えてみたいと思います。
なぜ電車好きに男性が多いのか? という疑問です。
もちろん女性で電車が好きという方もおられるとは思います。ですが、比率でいけば圧倒的に男性が多いだろうというのは誰が想像しても異論のない話ではないでしょうか。
ちょっと調べたところ、鉄道が好きな女性のことを『鉄子』というそうです。なかなか可愛らしい愛称だと思いました(笑)
その鉄子さんが運営されているサイトがあったので引用すると、電車好きの男女比は9:1ほどとのこと。
鉄子さんのサイト⇒ https://ebldirect.com
9:1となると、発達障害の男女比とも大きく引き離しての大差です。
発達障害の男女比はこれはこれで諸説ありますが、2.5~4;1で男性が多いとされることが多いようです(表面化のしやすさや、発達障害とする定義の揺れなどもあってバラつきが多いと思われる)。
つまり、仮に発達障害の特性が電車と関連する、と紐づけたとしてもそれにしたって男女差は大きすぎるわけです。
次に思い浮かぶのは社会の影響です。男の子はヒーローやロボット、乗り物が好き。女の子はかわいいものやお花、お菓子やオシャレが好き、という社会的なイメージが子どもたちに影響しているという可能性ですね。
これも完全に無関係とも言えないでしょうが、ですが男の子が『電車を好き』と言い始めるのは多くは誰からも勧められることなく起こることではないでしょうか。
と、発達障害の特性でも文化的な側面でもない、男の子が電車を好きになりやすい理由、というものがどうやら存在しそうな気配です。
ここでようやくですが、僕なりに答えだと思われる理屈を説明したいと思います。
男の子が電車を好きになりやすい理由、それにはもっと本能的な生き物としての構造の男女差が関係しているようなのです。
生き物としての違いが男女の嗜好の違いにも影響する
男女平等が叫ばれて久しい昨今ですが、根本的な生物学的なつくりの違いってやはりあります。
男女の肉体的な体力差、身体的特徴、妊娠できるかどうか、といったところは目に見えて分かりやすいところです。
加えて目に見えないところでは精神性の違い、脳の構造の違い、ホルモンの違いなどなど…これらの抗えない違いとジェンダー論はまた分けて考える必要があるのでしょう。
脳の構造の違いについては、1998年の頃に『話を聞かない男、地図が読めない女』という本がベストセラーになりました。
今の時代にこういうタイトルで発売するとどんな反響になるのか気になったりもしますが、ひとまずこういう話題もあったりして脳や考え方の違いが男女にはある、とご存知であったり経験上感じられている方も多いと思います。
ですのでこの脳の違いは今回取り上げません。
ここでは少し意外な視点で、目の見え方というところからお話ししてみます。

男女の違いは、目の構造からも発生しているというお話しです。
男女では、網膜の厚さがまず異なります。男性の目の網膜の方が分厚くできているんです。
男性の分厚い網膜に何があるかというと、M細胞という大きな細胞がたくさん存在しています。
M細胞は、動く対象に対して強く反応する役割があります。
一方女性の網膜は男性よりも薄いんですが、ここにはP細胞が多く分布しています。
P細胞は色や質感に対して反応する役割があります。
単純にP細胞の方がM細胞よりも小さいため、M細胞が多い男性の網膜は厚く、P細胞が多い女性のM細胞は薄いという違いが生まれます。
さてこの違いの結果何が起こるかというと、簡単に言えば男性は動くものに惹かれやすく、女性は温かみのある色や人間らしい質感に惹かれやすいという根本的な違いを生み出します。
幼いお子さんを想像すると分かりやすいですが、男の子はロボットや車、電車といった動きのあるものに惹かれやすく、それらの色も黒や青といった冷たい傾向のものを好みます。
女の子はお人形さんやぬいぐるみ、花など…人とのつながりを感じる温かみのあるもの、赤やピンク、ベージュや緑といった温かみのある色を好みます。
もちろんこれらは傾向であって、例外はいくらでもありますが。電車の魅力に惹かれる女性も、幼いころからお人形遊びが好きな男性も存在しますしそのことに何の問題もありません。
ここで重要なことは、発達障害うんぬんのお話しの前に男性が電車を好きになりやすいのには理由がある、と生物学的な性質も関係しているということです。
実際にはこうした体質的なお話しだけではなく、経験も大きなポイントですよね。
大好きなおじいちゃんと一緒に電車に乗った思い出から電車を好きになったり、誕生日に買ってもらった本がきっかけでその職業に憧れたり。
発達障害だけに目を向けすぎると見落としてしまう恐れがありますが、人の趣味嗜好には実に様々な要因が絡むということですね。
発達障害と電車の親和性
発達障害、神経発達症と一口に言ってもその言葉のもつ意味は多様です。
ただ、電車の話題との関連でいえば、恐らく自閉傾向がもつこだわり、変化への弱さ、視覚優位といったところから結びつくことが多いのではないかと想像しています。
上で少し触れた、『電車のもつ要素が発達障害の特性(特に自閉傾向)とマッチする部分がある』とした部分の根拠についてです。
前提として、これまでも挙げたように生物学的な要因や経験といったものも絡んで趣味嗜好というのは出来上がっていきます。
そのうちの1つの要因として考えたとき、電車のどういった要素が自閉傾向とマッチするのか。
僕はこれについて以下の4つの点が挙げられるのかなと考えました。
①一貫したルート、リズム
②無機質で一定のフォルム
③動き
④調整しやすい変化
①~③については、背景となるASD特性は共通点が多いのかなと思います。
ここで関係してくるASD(自閉)傾向の特性は『限定された反復する様式の行動、興味、活動』が当てはまるのではないかなと。
診断基準に照らし合わせるために固い言葉を選びましたが、要は『変化がないことを好む』『反復的な習慣や動作を好む』『こだわりから抜け出しにくい』といった様子を指します。
なぜこうした傾向が表れるかは次の見出しのところで触れますが、ひとまずはこれらの変化を好まないという特性をもつ方たちにとって、電車というのは安心して楽しめる要素が多いのではないかと思うのです。
画一された形に基本的に線路上を走るという規則性、一周してまた帰ってくるという安心感。
その上で先にも挙げたように、男性は生まれつき動くものに惹かれやすい傾向があるとなると、力強く駆け回り、タイヤや線路の部分にも細かいギミックがあったりする電車という存在はたまらないのかもしれません。
そこに加えて④という要素です。
これは意外に思われる方もおられるかもしれませんが、自閉傾向のある方というのは変化を好まないにも関わらず、案外とその行為には飽きているということが多々あります。
理不尽な話に聞こえるかもしれませんが、頑なに変化を拒みながらも実は本人も止めたがっていたりするんですよね。
そして本人もそれに困っている、困っているけど変化も怖いしどう打開したらいいか分からないのでそのまま続けるしかない…往々にしてこういうことはありえます(そうでないこともありますが)。
そんなとき、電車というのはささやかな変化と刺激を与えてくれやすいのではないかと想像します。
おもちゃのレールから脱線したり、本人の好きなタイミングで走らせる遊びから掴んで眺める遊びに変えたり。
駅ではいつものお馴染みのアナウンスで楽しんでいたかと思えば、声や調子はいつものものながら少し非日常のお知らせや限定放送が流れたり。
よく見知った世界から突然大きく変わることはなくとも、小さな変化が訪れる。それが変化が苦手な方々に対して適度な刺激を入れてくれているんではないか。
と、電車で遊ぶお子さんなどを見ていて思うことがあります。
もちろんこの辺りは個人差も大きいわけですが。
ただ、固くなに変化を拒んでいるように見える重度の自閉症児が、ささやかな変化を楽しめている瞬間を見つけたりすると思うことではありますね。
「なんの変化も無いって安心だけど辛くもあるよなあ」と。
そんなジレンマを抱える自閉傾向という特性と、電車がもたらす秩序的でありながら少しのランダム性というのが、絶妙にマッチするではないかなあ…と推測している次第です。
自閉傾向のある子どもたちにとって人は予測できない恐怖の対象
電車が好きな子は発達障害の傾向があるのか?という問いに対してはひと通り書いてみたつもりですが、せっかくなので少し自閉傾向の特性の理解に役立つお話しができたらと思い今回最後のお話しです。
そもそもなぜ自閉傾向があると、上で挙げたような常同性へのこだわりというものにつながりやすいのかというお話しです。
これについてもいろいろな考え方がありますが、1つは想像性の障害からくる不安です。
ASDの特性として、未来を予測したり目に見えないものから類推したりといったことが難しい場合が多くあります。
こうした特性が強ければ強いほど、世の中というものは何が起こるか分からず本人からすれば意味不明、恐怖や不安の対象であると言えます。
たとえばあなたがある日宇宙人にさらわれ、見知らぬ星で生活していいよと未知のエイリアンから言われたとします。
彼らはどうやら友好的で命の危険はないようですが、とはいえ気兼ねなく振舞えるようになるにはかなり時間を要するのではないでしょうか。恐らく周りをこと細かに観察し、自分の一挙手一投足が彼らの機嫌を損ねないかビクビクするでしょう。
地球では当たり前のことが、彼らの星ではとんでもないタブーかもしれません。
そう考えたら、「どうぞくつろいでいってよ」といくら言われたって内心はビクビクしているしできるだけ余計なことはしたくないし、なんならちょっとそっとしておいてほしいと思うかもしれません。
それでも日にちを重ねる中で、あなたはこの星の文化や慣習というものを知り、少しずつ安心して過ごせるようになっていくわけですが…。
残念ながら、こうした経験の蓄積や類推、明文化されていないルールというものを感じづらいのが自閉傾向のある方々です。
つまり、僕らにとっては勝手知ったる地球であっても、自閉傾向の強い方にとってはなかなか安心できる世界にはならない。
そして、人というのは常に変化を伴います。毎日表情が変わり、体調も変わり話している内容や声のトーンも変わる…ある意味ではとても予測がしづらい存在です。
それに対して電車やその他のおもちゃ、変らないでいてくれるスケジュール、字で書かれたものというのは予測を裏切りません。
この無秩序の世界に放り出されたような心境の子どもたちにとって、予測を裏切らないというものがいかに安心できる存在か。
こうして言葉にすることで、少しイメージして頂ける機会になっていたら幸いです。
誤解しないでもらいたいのは、だから人と関りをもつことを諦めようとか、自閉傾向のあるお子さんの周囲をガチガチに秩序立てて守ろうとか、そういうことを言いたいわけではないということです。
自閉傾向のあるお子さんに秩序立てた環境を作る、というのもアプローチの一種として大切ですが一生秩序立った世界から出ないで生きるという可能性はとても低いですので…。
やはりお子さんの状態にもよりますが、少しずつでも変化を感じて楽しむこと、人との関わりを楽しむことは大切です。
そこで無理やりに人と関わらせようとしたり、お子さんの好きな世界から引きずり出そうとするのではなく…その子に合わせたステップというのがとても大切だと思います。
この辺りはやはり、専門家の助けを借りるのが確実でしょう。
僕などへの電話相談という形でも構いませんし、医療機関への相談も含め誰かしら親身になって助けてくれる存在があることで、より良い成長の機会が多くの方に行き渡ることを願っています。
まの☆言葉と発達障害と心の専門家さん
この記事を書いた人:まの (まのぱぺ相談室代表)
【保有資格】
言語聴覚士 (国家資格) / 公認心理師 (国家資格) / 正規Keep Safeインストラクター修了
【主な経歴・実績 (臨床経験10年以上)】
- 元・看護専門学校 非常勤講師(リハビリ概論/言語・高次脳機能障害などを担当)
- 急性期病院での小児~成人リハ (失語症、嚥下、高次脳機能障害)
- 1歳~18歳までの支援 (発達障害、ことばの遅れ、吃音、緘黙、学習障害など)
- 重症心身障害児・者リハビリテーション
- 保育園へ毎月訪問し、保育士さんとの意見交換業務を継続中
- 学会での発表実績あり (令和8年も発表に向けて準備中!)

