エピジェネティック理論

愛着スタイル、大人の愛着障害、不安定型愛着、反応性愛着障害…これらの用語を整理する

こんにちは、まのです。

令和7年7月に書いたこのコラムですが、改めて考えてみると当サイトの考え方をお伝えするのに大切な記事だなと思いまして。
トップページのメニューからもこちらへ飛べるようにいたしました。

愛着スタイル、大人の愛着障害、不安定型愛着、反応性愛着障害…他にもインナーチャイルドやアダルトチルドレンなど様々な類似語といえるものがあります。
それについて、一旦当相談室での考え方を整理しましょうという主旨です。

そちらから飛んでこられた方にはやや唐突な始まりかもしれませんが、以下、掲載時のまま載せております。



今回は書き出しから不安です…何がって、この話題を整理することが可能かどうか、どうなることやら…という不安です。

実は以前から愛着に関しては書きたいと思う話題が何度かありました。当相談室にもたびたびご相談頂くお話しですし、あるいは発達障害に関するご相談…と思いきやお話しを聞いていくうちに愛着形成の課題からくる難しさのようだ、となるケースも珍しくないからです。

用語の混乱と整理の必要性

ただ、そうした話題に触れる前にしなければならないな…と思っていたのがタイトルの件です。
詳しくは後で述べますが、愛着障害というのはなかなかに用語が混乱しているジャンルのように思います。
昨今よくあるのですが一見、医療用語や正式な診断名のようでありながら実は書籍や動画といったコンテンツの影響で広まったというものが数多くあります。

ここ数年の例で分かりやすいものはHSPでしょうか。以前からあるものだとアダルトチルドレンなども該当しそうです。
言葉が一人歩きし、従来の意味から逸れて広まっているものもあったりするんですよね。

こうした広がり方は、良いところも悪いところもあり…世間的認知が広まることで自己理解や他者の理解につながったとなれば良い影響と言えるでしょう。
ですが一方で、医学的診断名ではないということは定義が曖昧になりやすかったり、商業的な謳い文句として悪い使われ方をしてしまったり、誤解のもとになってしまったり。そうしたリスクも孕んでいると思われます。

そしてタイトルの愛着障害関連の言葉は、正直なところもはや僕もどこまでが医学的根拠のあるもので、どこまでが俗語と言っていいものなのか首を傾げるところが多々あります。

個人的見解や調査で語ってもそれ自体が曖昧な行為のため、今回の記事は↓の書籍をベースにプラス僕がこれまで得た知識や臨床経験上で感じたことなどから書いていますが…。

参考図書:愛着障害 子ども時代を引きずる人々/岡田尊司
https://amzn.asia/d/9x3QrO7

それにしたってややこしいと言いますか。
ここに書かれているものでも、岡田先生独自の定義付けをして解説して下さっているものもあるように思います。

難しい難しいとばかり言っていても話が始まりませんので、↓から本題に入りますが…。
出だしからこんな感じなので、当相談室での用語の考え方を整理しよう!と銘打ったもののどこまでできるか不安で仕方ない。というのが今の気持ちです(^_^;)


前提として、大人の愛着障害という診断名は存在しない

さて、まず最初にはっきりしておきたいのはここでしょう。

恐らくですが、愛着スタイルや不安定型愛着といった言葉が使われるようになっているのには下記のような流れがあるのではないかと思うのです。

大人の愛着障害らしき状態で苦しんでいる方が世の中にはとても多い ⇒ だけど医学的診断名は存在しない ⇒ ならば名前をつけよう(不安定型愛着やアダルトチルドレンなど) ⇒ 誰でも愛着のもち方には傾向がある ⇒ 愛着スタイルとして区分しよう

というような感じではないかなと。
すみません、これに関しては完全に推測です。むしろ実際のところを知っている方がおられるなら教えてほしいです。

ともかくとして上記のような流れがあったとします。そう仮定した方が説明もしやすいということでお許しください。

ではでは、大人の愛着障害という使われ方をしない、つまり医学的診断名として言われる本来の愛着障害とは一体なんなのかを見ていきたいと思います。

反応性愛着障害とは

狭義の愛着障害と言いますか、本来の医学的診断名で『愛着障害』と言ったときに指すのがこちらになります。
少なくとも、僕はそのように捉えています。

ちなみに参考図書で使用した岡田先生の本では、不安定型愛着の方のことを『愛着障害』と呼ぶことで統一されています。
『反応性愛着障害』と『愛着障害』とで呼び分けることにされているんですが…

僕個人としては、医学的診断名に無い定義の方を「愛着障害」と呼ぶのは抵抗があります。
なので、早速参考図書と違って恐れ入りますが、当まのぱぺ相談室では不安定型愛着の方はあくまで不安定型愛着、という呼び方をさせて頂こうと思います。

この辺は非常にややこしいので最後にまとめを載せますね。
ともかく、まずはこの反応性愛着障害について少しだけお話しさせて下さい。
たくさん書き連ねると膨大な量になってしまうので、ここでは箇条書きで概要だけ載せておきます。

反応性愛着障害とは
・精神疾患を診断するための大元といえる、アメリカ精神医学会(DSM)に古くから診断名と診断基準が掲載されている。
 ⇒医学的診断名として根拠がはっきりしている。
・虐待やネグレクト、頻繁な養育者の交替が原因として挙げられる。
⇒ いわゆる毒親や過干渉、過保護といった養育環境の影響によるものは含まない。
・5才以前に始まる
・成人に用いられる概念ではない
・抑制性愛着障害と脱抑制性愛着障害に分けられる

と、このようになります。
この考え方でいくと、世の中で反応性愛着障害に該当する方というのはかなり限られるということがお分かり頂けるのではないでしょうか。
本来的な意味(狭義)の愛着障害では、虐待やネグレクトであったりそもそも両親など特定の養育者と一緒に過ごせなかったという、愛着形成を阻害する明らかな要因があるということです。

ですが実際には世間を見渡すと、子ども時代の愛着形成の課題から大人になった後の生きづらさにつながっているケースというのが大多数存在します(自覚されないものも多いです)。
ではこうした大多数の方をどうケアしていくのか、その方たちはなんとお呼びするのか…といった課題が出たときに次にご紹介するカテゴリーが出てきたのだと思われます。

大人の愛着障害、不安定型愛着、アダルトチルドレン…

この3つについては、厳密に3つを比較するとニュアンスは異なるのかもしれません。
ただ、そもそも明確な定義が存在しない3つでもあります。

おおよそ、家庭環境や幼少期のトラウマが原因で大人になってからも自己肯定感の低さなど生きづらさを抱える方たち…という説明はできますが、微妙に社会情勢や解釈の仕方、捉え方で変わるところがあります。時代や場所とともに意味合いが少しずつ変わるんですね。
社会現象であったり流行語から、世間に浸透して言葉の共通認識が作られていったというイメージでしょうか。

ですのでここでは3つまとめましょう、という我ながら大雑把なくくり方ができてしまいます。
大人の愛着障害の専門家を自負されている方が、「アダルトチルドレンは意味が違いますよね」と仮に言われたとしても、解釈の違いの範囲ではないかなと。

それが医学的診断名ではない名称の危うさであり、できる限り医学的診断名に立ち返って本来の意味がブレないように扱う大切さを意味しているとも言えるでしょう(少なくとも医療従事者には必要な考え方だと思います)。

そんなこんなで、3つまとめての特徴を説明してしまいますと下記のようになります。
・両親との別離や虐待といった経験をしていないながらも、子どもに起きる愛着形成の課題
・成人してからは対人関係の困難、不安や鬱など精神的課題を抱えやすい傾向がある
・三人に一人の子どもが不安定型愛着を示す
・多くの場合、反応性愛着障害と比較すると重度ではない
・岡田尊司先生の著書では「愛着スペクトラム障害」とも定義される
・過干渉や一貫しない不安定な養育態度、片親による養育、養育者から受容される経験の不足など様々な要因が挙げられる

ざっと挙げるとこのようなところでしょうか。
境界性パーソナリティー障害との関連性なども挙げられることがありますが、いったんここでは割愛しています。

それにしても衝撃的なのは三人に一人が該当する、というデータではないでしょうか。
実際にはこの三人に一人の不安定型愛着を抱えた方が、必ず生きづらい人生を迎えるというものではないように思います。
成長過程や周囲との関わりの中で、それなりに丸くなっていき適応していく方もおられるでしょう。
それでも根っこが深いのもまた事実ですが…三人に一人の中にも軽微な方から強く愛着の課題に縛られてしまう方まで幅広いというわけです。

神経発達症(発達障害)の話題とも通じますが、愛着の課題がある=その人の価値が落ちたり、不幸な人生決定、というわけではないですしね。

ただ、もしご自身が生きていてどうにもいかない歯がゆさ、生きづらさというものを感じておられるとしたらこうした愛着の課題が背景にある可能性は否定できません。
なにせ三人に一人にそのタネが潜んでいるというわけですので…であれば、いたずらに自分を責めるのではなくどうすれば生きやすくなるのかを相談したり助けを求めたりするのも大切なことではないでしょうか。

愛着スタイル

最後に触れておきたいのは愛着スタイル、という言葉です。
人は誰でも愛着のスタイルというものをもっていて、対人関係や様々な行動の基盤になっていますよ、というものです。

・安定型
・回避型
・不安型
・恐れ、回避型

この4種類に分かれます。これまで紹介してきた概念と違い、これらは直接生きづらさと結びつくものではありません。
また4種類に分かれるという言い方をしましたが、どれか1つに当てはまるというより安定型だけどちょっと回避傾向もある…とか、回避と不安両方当てはまる、といったことも起こります。
どれがいいとか悪いとかではなく、その人それぞれの個性というわけですね。

ただ、何事もそうですがどれかに偏り過ぎるとなにかと苦労する場面が出てくるということは往々にしてあります。
そうした困難が生じる場合、上記に挙げた不安定型愛着にも該当してくる…という地続きのイメージだと分かりやすいでしょうか。

まのぱぺ相談室での用語の整理まとめ

さて最後に、改めて当まのぱぺ相談室での愛着障害に関する用語の使い方は下記のように考えたいと思います。

・医学的診断に準ずる愛着障害…………『反応性愛着障害』または『愛着障害』『狭義の愛着障害』
・愛着の課題による生きづらさ………『不安定型愛着』または『大人の愛着障害』

なんとかこれで整理がついたでしょうか…冒頭の心配からここまで書き上げ、ようやくほっと一息です。
とはいえ、やはりややこしいですし参考図書と違う定義付けをしているのも恐縮だったり(こういう人がいるから定義がまとまらないのかもしれないですし)

とはいえ、1つの見解が全て正しいとは限らないという視点は医学分野でもどの科学でも大切だと思いますので。
これまでの知見と、僕個人の考えからひとまず上記のようにさせて頂きたいと思います。

なんだかまどろっこしくいろいろと書いてしまいましたがこれで今後、愛着障害関連の話題を書く際に混乱を避けられるかなと思います。
今後ともあまり他所では見られない記事を多く書いていけたらと思っておりますので、またご覧頂けると嬉しい限りです☆

まの☆言葉と発達障害と心の専門家さん

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この記事を書いた人:まの (まのぱぺ相談室代表)

【保有資格】
言語聴覚士 (国家資格) / 公認心理師 (国家資格) / 正規Keep Safeインストラクター修了

【主な経歴・実績 (臨床経験10年以上)】

  • 元・看護専門学校 非常勤講師(リハビリ概論/言語・高次脳機能障害などを担当)
  • 急性期病院での小児~成人リハ (失語症、嚥下、高次脳機能障害)
  • 1歳~18歳までの支援 (発達障害、ことばの遅れ、吃音、緘黙、学習障害など)
  • 重症心身障害児・者リハビリテーション
  • 保育園へ毎月訪問し、保育士さんとの意見交換業務を継続中
  • 学会での発表実績あり (令和8年も発表に向けて準備中!)

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