こんにちは、まのです。
僕は言語聴覚士と公認心理師の2つの資格経験を活かし、当相談室でのカウンセリングを行っているわけですが。
恐らくですが、公認心理師は「カウンセラーさんですね!」「精神的な不調へのケアをする仕事」などイメージがつきやすい反面、同じ医療系国家資格でも「言語聴覚士」というのはまだまだ一般的に知られていない姿が多いのではないでしょうか。
言語聴覚士という、僕のバックボーンを知っていただくことで、カウンセラー選びの参考にもなるかなという思いと。
また、この機会に言語聴覚士という存在が何をしているのか、知っているよという方が一人でも増えるといいかなという思いからこの記事を書いています。
今回は「専門領域編」ということで、具体的にどんな障害や疾患の方を対象としてアプローチしていくものなのか、5つの領域に分けてまるっと解説してみたいと思います。
どの職種もそうなのかもしれませんが、できるだけ語弊や誤解なく書こうと思うと少しお堅い文章になってしまうことをご容赦くださいませ( ;∀;)
ちなみに「大まか編」という記事を過去に挙げています。
よろしければそちらを先に読んでいただくと、よりイメージが湧きやすいかなとも思い↓に貼ります。ご興味の湧いた方はぜひ読んでみてください!
専門領域1:コミュニケーション(失語症、発達障害など)
言語聴覚士が最も専門性を発揮できる分野といえば、ここではないでしょうか。 コミュニケーション、つまり資格の名前にも入っている「言語」と密接に関わる部分です。
もっとも、コミュニケーションというのは言葉だけに限りません。 実際には言葉を使わない振る舞い、表情、慣習、視線、いわゆる「空気を読む」といったことなど、さまざまなところまでまるっと含んでコミュニケーションは行われています。
こうした言語・非言語も含め、コミュニケーションの難しさを抱える方々への支援というのが言語聴覚士の大切な役割と言えます。
脳梗塞などの後遺症で言葉に影響が出るものの代表的な障害が「失語症」です。
大まかな古典分類と呼ばれるものだけでも7タイプに分かれ、失語症というものを知ると『言語』というものの奥深さ、それを操るために人の脳がいかに高度なネットワークを構成しているかを感じられるものでもあります。
また、生まれながらにコミュニケーションに難しさを抱える場合があるのが、発達障害(神経発達症)や特異的言語発達遅滞といった発達の特性によるものですね。
失語も発達障害も、どう実生活での困難さに対処していくかは実に様々です。
訓練を行うことでその人の力自体を伸ばしていく方法もありますし、あるいはその人の得意な分野を使うことで弱い部分を補う方法、電子機器やノートといったツールを有効活用する角度からの対処法もあります。一口に書ききるのは難しいのですが、これらは最も言語聴覚士の専門性が発揮される場面の1つだと思っています。
…それにしても……もっとカジュアルに書いてみたかったのですが、どうしてもお堅い文章になってしまってもどかしいですね( ;∀;)
専門領域2:発声・発語(吃音、構音障害など)
さて2つ目にご紹介するのも、同じくコミュニケーションに関することです。
1と別に領域があるとはこれいかに…というところですが、こちらで取り上げるのは「話し言葉の音や出し方」の障害です。
専門領域1の部分をランゲージ(言語)、専門領域2の部分をスピーチ(発話)と言うと少し分かりやすいかもしれませんね。
ランゲージは頭に話す言葉を思い浮かべる段階。一方こちらは、浮かべた言葉を実際に声に出して表現するパートです。
- 吃音:どもりや音の連続といった難しさがあります。
- 発声障害:声帯などの異常から声が出せない、あるいは出せるけども本来の声質ではなくなっている状態などを指します。
- 構音障害:お子さんの場合「さ行」が「た行」になるなどの音の未熟さ、大人の方の場合は脳梗塞などの後遺症で舌がうまく動かせず聞き取りづらい発音になっている状態を主に指します。他にも舌癌で舌を切除した場合や、口蓋裂という生まれつき口の天井が割れているお子さんへの支援も対象となったりします。
専門領域3:聴覚障害
3つ目は、資格名にも入っている『聴覚』についてです。
ここについても言語聴覚士が大いに専門性を発揮する分野…に間違いないのですが、実際には聴覚障害領域に携わる言語聴覚士は全体のおよそ1割ほどだと聞いたことがあります。
僕自身も経験が無い領域ですが、需要はあるはずなのに、まだまだ聴覚障害に対してより専門的にアプローチできる機関が限られているというのが現状かもしれません。
聴力検査の実施自体は看護師さんなど他の職種でも行うことがありますが、言語聴覚士がより専門的に関わるのは「検査により難聴が発覚したその後」に対してが多いです。
特に、人工内耳や補聴器といったもので聴力をカバーするお子さんに対しての訓練で専門性が発揮されます。
生まれつき耳が聞こえづらいお子さんが、人工内耳を使ったからといってすぐに言葉を認識できるわけではありません。
音というものがほとんど存在していない世界で生きてきたお子さんですから…たくさんの音に慣れ、吸収していく必要があるんですね。
言葉を認識し獲得していくための訓練において、言語聴覚士が深く関わっているというわけです。
専門領域4:高次脳機能障害(失語症を除く)
4つ目は、高次脳機能障害についてです。以前僕がアップしたショート動画がありますので、お時間のある方はこちらをご覧ください。
【ここにYouTubeのリンクを挿入】 https://youtube.com/shorts/MgNuInq8JjA?feature=share
動画を見る時間はない!という方のために、内容を文字起こししたものをまとめておきますね。
【高次脳機能障害とは?】
脳の中でも「高次」な機能が障害された状態をいいます。
低次な脳の機能というのは、呼吸、排泄、体温調整、睡眠など無意識に行っている「生命維持」に関するものです。
では高次脳とはなにかというと、「人間を人間たらしめている部分」を指します。
言葉を操ったり、未来に向けて計画を立てたり、必要なものに意識を集中させたり、複雑な道具を扱ったりする、他の動物にはない機能です。
こうした機能が、脳梗塞や頭部外傷など脳にダメージを受けて低下してしまうことを高次脳機能障害といい、リハビリの対象となります。
思考や感情、類推やさまざまな活動などを含み、注意障害、失行、失算、失書、記憶障害、失認、半側空間無視…など、一見難しい漢字が並ぶ種類があります。
いずれも障害が起きると仕事や車の運転、家事、余暇活動などあらゆることに影響が出うることであり、言語聴覚士や作業療法士によるリハビリの対象となります(前述の「失語症」も本来はここに入ります)。
専門領域5:嚥下(えんげ)
最後に登場するのが、嚥下(えんげ)障害です。 難しい字ですが、つまりは「食事、飲み込み」が障害されることを言います。
高齢者の方がお餅をのどに詰まらせて…というニュースを耳にしたことがあるかと思います。
飲み込みにも筋力が必要なため、加齢による低下や、脳梗塞などの疾患、パーキンソン病などで飲み込むことが難しくなると、食べ物が肺に誤って流入してしまうこと(誤嚥)があります。
そこで菌が繁殖し、肺炎を起こすことを誤嚥性肺炎といいます。
ここで言語聴覚士の出番です。患者さん一人ひとりに合わせ、飲み込みが難しくなっている原因を分析し、見合ったトレーニングを行います。
実はこの嚥下領域、これまで出てきた4つと比較するとやや異質です。
他の領域は「脳の中で考えること」や「聴覚」など目に見えないものが対象でしたが、嚥下障害は「筋肉」という明確に目に見えるアプローチ対象があります。
言語聴覚士(スピーチセラピスト)の成り立ちとしてはコミュニケーションに特化した職業だったものの、「首から上を担当する」という流れの中で自然と嚥下にも関わるようになっていったという歴史があるそうです。
いまや一般的な病院に勤める言語聴覚士の仕事の7割は嚥下関連ではないでしょうか。
僕も小児分野が多かったとはいえ、嚥下に携わった経験には大きな意味があったと感じています。
嚥下という領域で仕事をするのは、「人生最後に何を食べたいか」「どこまでリスクを許容して食べたいものを食べるか」「鼻から管を入れて栄養を摂り延命するのか」といった、明確な正解の無い判断をご本人やご家族の方としていく日々の連続です。
それぞれの立場の方の思いを聴き、価値観の違いに触れ、親子の深いつながりを目の当たりにする経験を多くさせていただきました。
まとめ:すべての経験が、今のカウンセリングの糧に
今回は、言語聴覚士の専門領域を5つに分けてご紹介しました。 いやー、どうしても小難しい内容になってしまってすみません…。
ただこうして振り返ってみると、本当に広い分野に渡って経験をさせて頂いてきたのだと感じます。
一見、今のカウンセリング業とは関係ないと思われる領域もあるかもしれませんが、脳や筋肉、神経といった人を構成するものを知ることで、心理や行動の理解にも確実につながっています。
公認心理師としての知識や経験に加え、言語聴覚士として積んできたこれらの経験があるからこそ、相談される方にとってプラスになる独自の視点を提供できると思っています。
心理一筋の方のすばらしさもあれば、僕のような複数職の経験による良さもある。
それぞれのカウンセラーの個性があることで、より多くの相談者の方の助けになっていけると良いなと改めて考える機会になりました。
少し堅苦しいお話しに最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
この記事を書いた人:まの (まのぱぺ相談室代表)
【保有資格】
言語聴覚士 (国家資格) / 公認心理師 (国家資格) / 正規Keep Safeインストラクター修了
【主な経歴・実績 (臨床経験10年以上)】
- 元・看護専門学校 非常勤講師(リハビリ概論/言語・高次脳機能障害などを担当)
- 急性期病院での小児~成人リハ (失語症、嚥下、高次脳機能障害)
- 1歳~18歳までの支援 (発達障害、ことばの遅れ、吃音、緘黙、学習障害など)
- 重症心身障害児・者リハビリテーション
- 保育園へ毎月訪問し、保育士さんとの意見交換業務を継続中
- 学会での発表実績あり (令和8年も発表に向けて準備中!)
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