こんにちは、まのです。
今回は月1回訪問させて頂いている、保育園でのお話しを書いていきたいと思います。
(ちなみに前回コラムにしたのは↓1月、園でお昼寝が難しい園児さんのお話しでした)
きっかけは「立ったまま靴が履けるのはいつから?」という疑問
さて今回の本題に入っていきますと、タイトルにもある通りスマホがお子さんに与える影響についてです。
僕は動画やコラム、公式LINEなどでスマホとの付き合い方やそこから人が受ける影響について何度か触れています。一応言っておくと僕はスマホアンチというわけではありません(笑)
というより、スマホ無くして生活できない状態ですので良くも悪くも頼りまくっているわけですが…とはいえこれだけ生活と密接しているものですので、それが人の心理状態に与える影響や、子どもの発達との関連は注目しておく必要があるだろう…ということで関心のある話題でもあります。
今回のことも、初めからスマホに懐疑的な視点でかかったというわけではなく、話している中で行き当たった1つの仮説だったりします。
仮説のきっかけとなったのは、保育園の先生から頂いた「子どもが立ったまま靴が履けるのは何才が目安ですか?」という質問でした。
というのも、その先生は大ベテランと言える方でこれまで長きに渡ってお子さん方の保育をしてこられました。
その中で、ここ数年、恐らく特にコロナ禍以降の園児さんたちがなかなか立ったまま靴の脱ぎ履きができるようにならない、と言われるのです。
先生の感覚では、幼稚園に在籍している間にそれほど苦なくできるようになっていたものが…今はこの春から小学校になる予定の年長さんでも定着しない子が多いと。
その原因について意見交換をしていたことが最初のきっかけでした。
それによって一番困るのは、万が一火事になったときなどだということで…避難訓練の際、座らないと靴を履けない子が多く、非常時のことを考えるとあまり悠長に考えていいものか疑問だということでした。
また、小学校では靴箱周りのスペースはそれほど広くないことが多く、やはり在園中に立ったまま靴の脱ぎ履きをできるようになる、というのは1つのステップとして超えていたいところのようです。
体幹の力とバランス感覚が重要
まず、なぜ立ったまま靴を履くのが難しいのかを考えたとき、一番最初に思い浮かぶのは体幹の筋力とバランス感覚の影響です。
立ったまま靴を履くためにはある程度片足立ちでバランスをとり、手を使える必要があります。そこの土台を支えるのが体幹筋とバランス感覚というわけですね。
この課題はもう、正直なところ多くのお子さんに起きている現象なのだと思います。
端的に言うと、猫背になりやすかったり頭や体を支えるのが難しい子、その結果座っている間に姿勢が崩れてしまう子、さらにその結果、集中が逸れてしまう子…こうしたお子さんは実際に増加傾向にあるように感じます。
ADHD傾向など発達の偏りの可能性ももちろんありますが、それとはまた違った体幹筋の弱さを抱えているように思われる子を見かけることは珍しくありません。
もちろんこれはお子さん自身の責任ではなく…体幹を使った遊びをする機会や環境の減少、生活スタイルの変化といったものが主要因だと思います。
ですのでこれ自体は誰かを責めるというより、こういった環境の中で少しでも体幹を使う機会を作ったり、姿勢が整いやすい机の高さの設定、足を置く位置の目印などでサポートしていくのが現実的にできる対応なのだと思います。
いずれにしても、立ったまま靴を履けない、という課題と体幹の未熟さという要素は確実に絡んでくるところではあるでしょう。
僕たちはこの保育園に訪問させて頂く際、言語聴覚士である僕と、理学療法士、作業療法士というリハビリの他の職種のスタッフとチームを組んで臨んでいるため…以前からこの体幹を使った運動機会の確保というものは共通テーマとして取り組んでいました。
ですのでこの課題に関してはひとまず、引き続きできる範囲で体を使った遊びや機会を取り入れていくことを確認した次第です。
「ながら」も関係するのかもしれない
と、ここまでは順当に進んだ話なのですが。
意外だったのはここからです。先生が話されていたのが、「一度立って靴を履けた子でも、定着せずにすぐ座って履くようになる」という状況です。
もし体幹などフィジカルな面だけが問題なのであれば、一度できるようになった子は次回からも繰り返しできるような気もします。
もちろん座って履く方が難易度は低いわけで、一度できるから次からも毎回できる、というほど単純なものでもないのでしょうが…それにしても不思議だ、と先生は言われます。
そこで、フィジカル以外の影響もありえるのかを考えるために、詳しい状況をお聞きしていたところ次のようなお話しが聞かれました。
「ひとつひとつの動作を止まってせず、先生に喋りかけたり他の子にちょっかいをかけながら動作をする子が多い」
というのです。
よくよく考えてみれば、大人からすれば立って喋りながら靴を履くなんて造作もないことですが、幼稚園児の注意力の容量からすると、このマルチタスクはなかなか大変かもしれません。
喋りたい+靴を履きたい ⇒ 立ったまま両方するのは大変 ⇒ 座って靴を履く方法なら両方できる。
こんな図式が成り立っているのでは…?
そこで思い立ったのが、手持ち無沙汰や刺激が無い状況への不慣れという考えです。
僕ら大人もそうですが、昨今は常に手元に刺激や娯楽がある状況です。そう、スマホやタブレットです。
毎度毎度スマホが悪者みたいになって申し訳ないのですが、実際人の生活や心理に与える影響はとても大きいですからね…。
自分を省みても思うのですが、いつの間にやらすっかり退屈や何もない時間への耐性というものが弱くなっているように思います。
ちょっとしたyoutubeの広告が煩わしかったり、ショート動画を見ては少し自分に合わないと思えばスワイプで飛ばしたり。トイレにスマホを持ち込みベッドにも持ち込み、僕はこれはしていませんが人によってはお風呂にも持ち込み。
大人がこれだけ捉われているので幼少期からそれに近い状況にあれば、刺激が無い状況への耐性が弱くなるのは必然かもしれません。
その結果、じっと立って靴を履くという間すら他に注意が逸れ、お喋りをしたくなってしまう。『ながら』が定着しすぎているのかもしれない、という仮説です。
もちろんこれはただの考えすぎかもしれませんし、子どもたちはいずれ立ったまま靴も履けるようになりますが…。
大人も子どもも、インスタントな刺激に慣れ過ぎてしまっているのかもしれない、と考えさせられる事象でもあると思いました。
一応言っておくと、僕は子育てにスマホを持ち込むな!子どもにタブレットを与えるな!ということが言いたいわけではありません。
むしろ、保護者の方も手一杯であることが多い現代ですので、こうしたツールをうまく使わないと親子ともども潰れてしまう恐れだってあります。ゆとりをもって親子が関わるためにも、上手に使いたいツールであることは間違いありません。
要は使い方、加減なのだと思います。これは本当に悩ましいし、難しいラインではあると思うのですが…何事も行き過ぎは良くないとして、少し頭の片隅に入れておくことは大切かもしれませんね。
まの☆言葉と発達障害と心の専門家さん
この記事を書いた人:まの (まのぱぺ相談室代表)
【保有資格】
言語聴覚士 (国家資格) / 公認心理師 (国家資格) / 正規Keep Safeインストラクター修了
【主な経歴・実績 (臨床経験10年以上)】
- 元・看護専門学校 非常勤講師(リハビリ概論/言語・高次脳機能障害などを担当)
- 急性期病院での小児~成人リハ (失語症、嚥下、高次脳機能障害)
- 1歳~18歳までの支援 (発達障害、ことばの遅れ、吃音、緘黙、学習障害など)
- 重症心身障害児・者リハビリテーション
- 保育園へ毎月訪問し、保育士さんとの意見交換業務を継続中
- 学会での発表実績あり (令和8年も発表に向けて準備中!)
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